犬猿の仲 (Page 2)
「あ、あんたどういうつもり!?離して!ん、んん!」
抵抗の声はあっという間に雄太の唇によって掻き消された。真子は雄太に抱きしめられ、激しく唇を奪われた。雄太は力ずくで真子をエレベーターの隅に追いやり、閉じ込めた。舌が口内を縦横無尽に動き回る。上あご部分を舌先で擦られると、思わず体が反応してしまう。
雄太の激しいキスに、自分の最奥が疼いて膝が震える。雄太は指と指を絡ませて握ると壁へと押し付ける。覆いかぶさるようなキスに視界がぼやけた。キスの合間に雄太が真子の耳たぶやうなじを指でなぞる……まるで大切に扱われているようでむず痒い。
雄太はいつだって飄々として、余裕ぶっていて、何を考えているのかわからない人間だった。だけど、夢中で真子にキスをする雄太の顔は辛そうで、こちらまで胸が痛くなった。
(私が、悪いみたいじゃないの……)
絡み合う舌が、互いの口角から零れ落ちる互いの唾液が、触れ合う互いの胸元が……理性を崩していく。会社でイケナイことをしているのに、たいしたことではないように思えた。雄太の荒々しい呼吸が、体温が、焦げそうな視線が愛おしかった。
雄太は真子のスカートの裾をまくり上げて、ストッキング越しに秘所へと手を伸ばす。そこはすでにぬかるんでおり、雄太は真子の小さく、ぷっくりとしたクリトリスを押し上げた。真子は両脚に力が入らなくなり、上擦った声を漏らす。興奮した雄太は下着をずらして、直接愛液に濡れた部分に手を伸ばし、ねっとりとした動きで真子の膣内を掻きまわす。
「や、やだ、ん……こんなとこで、ん!ゆ、雄太!」
雄太の腕を掴んで抵抗を試みるも、与えられる刺激に屈するように握力が弱っていく。恥ずかしいのに、エレベーターがいつ停まるかわからないのに……やめてほしくない、雄太と一つにつながりたい……そう思った。
雄太が指を折り、真子の弱い部分を押し上げると、真子は小さな声を上げて体を震わせた。
雄太が真子の膣から指を抜くと、真子の小さな体がびくりと痙攣した。立っていることができず、先ほどよりも雄太に身を任せている。真子は真っ赤な顔をして雄太を見上げた。社内で、しかも指だけでイカされてしまったことが恥ずかしくてたまらなかった。見つめ合う二人は自然と導かれるようにキスをした。
「ん…、雄太……」
「真子……真子、俺……」
雄太が真子の名を呼ぶ。それだけなのに胸がざわつく。どうしてもう別れたのに、こんな熱のこもった声で呼ぶのか、どうして頬に触れたままの手は、こんなにも震えて冷たいのか……。
「好きだ」
雄太の呟きと共に、エレベーターが到着した音が響いた。ふたりは体を離すと、じっと見つめ合った。雄太の瞳の奥が揺らいでいた……真子はそんな雄太を置いて、エレベーターのボタンを操作した。再び一階へと動き出したエレベーター内で沈黙が続く。真子はそっと雄太の手を握った。二人は顔を見合わせて笑った。
Fin.
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