断ることができない性格の私…気軽に始めた「なんでも屋さん」は…危険がいっぱいでした (Page 3)
彼の優しい手つきや囁き声に安心はするが、何をされるかわからない恐怖もとなり合わせだった。
急に手首にひやりとした感触が当たってビクッとする。
「な、何?」
彼は何もいわずに何かを用意していて、私は怖くて衣服の擦れる音をただ聞いていた。
だけど、両手首にカチャリと手錠らしきものがはめられたとたん、私の恐怖心がメーターを振り切ってしまった。
「待って…待って、こわい。目隠しはずして。圭くん、止めよう。やっぱり、こわいよぅ」
涙声でいうと、慌てたように圭くんが目隠しをはずし私の顔を覗き込んだ。
「ご、ごめん…怖かった?」
そう言うと、私を起こしてやさしく抱きしめた。
私は抱きすくめられたまま、冷静を取り戻そうと深呼吸をし、涙が頬を伝う。
「ごめん…ごめんね」
圭くんは何度も誤って私の髪を撫でた。
「…依頼を受けたのは私なのに…取り乱してごめん」
「ううん…君が断れないのを知ってて、意地悪だったよ…お金はちゃんと払うから」
「いいの…私、応えられなかったんだし、お金は受け取れない」
すると圭くんは体を離し、そっぽを向いて言った。
「違うんだ。本当は…君がいろんな人の依頼を受けてるって聞いてずっと、気が気じゃなかった…」
「…どういうこと?」
「なんでも屋なんて危険だって教えたくて…今はまだ危険な目に合ってないかもしれないけど、僕が聞く限り、下心ある奴らにも情報が回ってる。だから早くやめてほしかった。男と二人きりになって、何かされたらって思うと…もう、気が狂いそうになる」
彼の穏やかな雰囲気がピリッと棘を持ち、彼のビー玉みたいな目に見つめられる。
「ねぇ、わかってないよ?メルちゃんは断るの苦手でしょ?そんな子がなんでも屋なんて、どんなに危険なことかわかってない。実際、君は僕の部屋にこうしてのこのこやってきて、服従する…なんて…はぁ」
「…でも、圭くんじゃなきゃ、私こんな依頼受けなかったよ?」
圭くんの耳がじわりと赤くなった。
私は手錠のかかった両手で彼の胸を小突く。
「圭くんのこと、信じてるから。それに、圭くんに服従なんて、ちょっとわくわくしちゃって(笑)」
「何それ…はぁ、なんでそんなこと言うんだよ…もう、知らない!覚悟してっ」
不意に手錠をつかんで彼がその中に入ってきて対面で抱きしめられる。
「僕はぎりぎりで耐えてるのに…それって煽ってる?」
顔も体も密着して、息のかかる距離にくらくらする。
私の身体はどうやら彼に服従したくて、うずうずしているみたいだ。
「…圭くんに…服従したいの」
「メルちゃん…何言って…」
怒るのかな?
圭くんの目を思わず見つめてしまう。
「…メルちゃんのせい…我慢できない…口開けて…メル…舌…出して」
私は素直に舌を出す。
唇を動かすとくっついてしまいそうな距離で、私が伸ばした舌は彼の唇の割れ目をなぞった。
「…んくちゅ…っはむ…ん、ちゅ」
彼の舌が私の舌を迎え入れて絡み合い、柔らかく甘く溶け合うみたいに熱いキスだ。
「ん…はぁ…圭くん…」
「メル…好き…はぁっ…ん…好き…」
するとキスを不意に止め、彼が私の腕の中から抜け出た。
私は何が起こるのかとじっと彼を見つめ、彼のみだらな命令を期待する。
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