恥ずかしがってみせるけど、先生を媚薬でムラムラさせたのは私です。
大学の非常勤講師の先生を好きになってしまった舞は、ネットで媚薬を手に入れた。先生が講師を辞めてしまう日、先生の部屋を訪れ媚薬を飲ませてしまう。ムラムラしている先生にめちゃくちゃにしてとお願いすると…
「…ん、先生…もっと触っていいよ」
彼の手が今にも服の中に侵入しようとしていた。
ここは大学構内のとある部屋の中。
今日は非常勤講師である佐々木淳之介の最後の講義の日だ。
そして1時間前、質問があると伝えておいた私はコーヒーを持ってこの部屋を訪れた。
私が、彼に一目惚れしてからというもの、毎週の講義の日は特別な日だったのに、最後だなんて信じたくない。
「お疲れ様です。今日が最後だから…これ、感謝の気持ちです」
「…ありがとう、入って」
そう言って先生は熱いコーヒーを受け取り、口をつけた。
「それで、質問というのは?」
先生は言いながらテキストを開いてパラパラとあたりをつけている。
わたしはバッグの中からノートを取り出し、用意してきたページを開いた。
佐々木先生の講義はいつも淡々としている。
いかにも生徒に好かれたい!と言うような発言も態度も一切ない。
抑揚のない口調、シンプルなのに決して安物をまとっていないファッションセンス、細縁メガネの奥の冷たい目がなんとも人間ぽくなくて私好みだ。
身長170cmの私を見下ろす身長差に、ドキュンと心臓を射抜かれたのははじめての課題を提出した時だった。
「次の講義が最後になります」
先週、誰も聞いていないようなタイミングで、さらっと言ったのを私は聞き逃さなかった。
このままだと先生に会えなくなる。
危機感にさいなまれた私は、『異性を虜にする媚薬』を通販で手に入れた。
真剣に検索し購入してしまった自分に、どこか冷静に引いてはいたが彼を虜にできる可能性が1%でもあるならかけてみたかった。
だってこのまま先生と何の関係性もなく離れるのはどうしても嫌だ。
透明容器に入れて持ってきた液体を先ほどのコーヒーに垂らしてある。
とにかく私は媚薬でもなんでもいいから、先生と距離を縮めたいのだ。
「この部分、もう一度説明してもらってもいいですか?」
講義の内容は一言一句完璧に覚えているし、密かに先生が授業の中で力を入れているであろう箇所も把握しているつもり。
だからどんなふうに質問すれば先生が喜ぶかまで、しっかりシュミレーション出来ていた。
先生が片口をクイっとあげたのをみて、やはりこの問題にして良かったと胸をなでおろした。
先生がいくらか楽しそうな目つきになり「ここね、はいはい」と機嫌よく説明し始めた。
*****
「なるほど。よくわかりました。ありがとうございます!」
先生はホッとしたようにテキストを閉じた。
「相内さん、僕の講義わかりづらいこと多かったんじゃない?」
いつになく親しげに問いかけられて、私の鼓動は速くなった。
「いいえ、そんなことありません。いつもわかりやすくて…大好きでした」
先生を見つめながら言ってみる。先生の瞳が揺れた気がした。
「そう…よかった。確か…相内さんは全講義受けてくれてた…っと」
先生がわずかに眉間に皺を寄せ、メガネを指でなおす仕草をした。
「先生?…顔が赤いみたい」
「いや、なんだか…少し暑いね。空気を入れ替えようか」
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