暗がりに待ち受けるのは。 (Page 3)
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「んもぉ〜っ!いい加減にしてよ!本当に怖かったんだから!ストッキングもダメにしてっ!このっ!このぉっ!!」
「イタタっ!ごめん、ごめんってば!許して〜っ!」
ジュンくんが買ってきてくれた大量のコンビニスイーツを全部平らげたあともイライラは収まらず、ポカスカと彼の背中を叩いた。
「もう2度としないでよ?!金輪際!おんなじようなことしたら!別れる!わかったぁ?!」
「ひいぃ〜っ!ごめんなさぁーい!」
彼も自分が悪いのはよくわかっているようで、無抵抗に私の拳を全て背中で受け止めた。
事の顛末はこう。
以前、私から『もう少し激しくして欲しい』と言われたジュンくんは、どうそれを解釈したのか…
激しくして欲しい→激しいプレイが好き→乱暴に扱われたい?→じゃあ強姦プレイだ!
という思考に至ったらしく、私から残業で少し帰りが遅くなると連絡がきたタイミングで、この愚行を思いついたらしい。正直、これを聞いて愕然となった。
というより、失望に近かった。でもまぁ、通りで本物の強姦魔よりは優しめに扱われていたようだし、私が悦ぶ箇所を的確に攻めることが出来た訳だと納得した。体が嫌がらないのも、よく知っている感触だったからなんだろう。もしも本物の強姦魔だったなら…私は今頃どうなっていたやら。
「でもさ、いつもよりスッゲー反応良かったんだけど?それに思ってたより抵抗しなかったっていうか…」
「はぁっ?!」
「ひぇっ!すいませんでしたぁ!」
私が思っている以上に鬼の形相になっていたのか、ジュンくんは土下座して謝ってきた。とりあえずこんなふざけたことはしないようにと約束させ、明日は仕事が終わったらお気に入りの洋菓子店のケーキを買ってこいと言い放ってから浴室へ向かった。シャワーを浴びながら、
『…でも、今までで1番気持ち良かったのは真実なんだよなぁ〜。怒りに任せて2度としないで、なんて言っちゃったけど、本当はもう一度でいいからやりたい…。事前に教えてくれてたらアリかも?でも知ってたら、スリルはないっていうか…う〜ん、どうしよう?』
なんて考えている私も、ジュンくんと大して変わらないのかもしれない。
Fin.
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