両手にしごできイケメン。 (Page 2)

「どうした、ひとみ。飲み過ぎたか?たまには水も飲まないとダメだろう」

「それならそろそろお開きにするか?それとも2件目行くか?まだまだ飲めるぞ!はっはっはっ!」

「うーん、そうねぇ…」

私は今からとんでもないことを口にしようとしている。でも、きっと2人ならこの話に乗っかってくると確信していた。何せ英政と泰彦のことは、他の誰よりもよく知っている。

「ねぇ、だったら私、行きたいところがあるんだけど…」

*****

「わぁー!スゴイ!ベッド大きい!天井、鏡じゃん!マジであるんだー!あははーっ!」

わざとらしいくらいはしゃぎながら、部屋の中心にある大きなベッドにダイブした。寝転がってベッド脇に置いてあったカタログを見ると、軽食やコスプレ衣装、アダルトグッズなど様々な写真が並んでいた。

「これ全部テレビのリモコンで注文できるんだってー!あっ、たこ焼き美味しそう!ちょっと頼んでみていい?」

カタログから目線を上げて2人を見ると、泰彦は青ざめてるし、英政に至っては不機嫌そうに口をへの字に曲げていた。さっきまであんなに大笑いしていたのに。

「何よその顔!久し振り来たかったって言ってるでしょ!それに、女子会で行ってみたって部下が言ってて気になってたんだよね〜!」

そんなのもちろん嘘だ。酔った勢いで2人をラブホテルに連れ込んだのはいいものの、いざ入室まで済ませてしまうと急に酔いが醒めてきて、どうしていいかわからなくなってしまった。誘惑して、断られたらどうしよう。不穏な態度の2人をその気にさせる自信がない。しかしそれを悟られる訳にもいかず、口から出まかせにモノを言う。

「あっ、もしかしてその気になっちゃった?愚痴聞いてくれたお礼に、私が相手してあげてもいいわよ?アンタたち何年も彼女いないみたいだし、しばらく女性の裸なんて見てないでしょ」

それを言った瞬間、場の空気が凍りつくのがわかった。
虚勢を張って強がりを言ってしまう私のダメな癖だ。元彼にもそれを指摘され逆ギレからの大喧嘩へ発展の挙句、破局になったこともある。でも、飛び出た言葉はもう取り消せない。静かな怒りが湧き上がっていると2人の表情から読み取れた。

「…じゃあ、相手してもらおうか」

「えっ?い、今のは冗談で…」

泰彦は私の言葉を遮るようにネクタイを緩めながら覆い被さってきた。

「冗談?冗談でこんなところに連れてきて、そんなこと言うのか?今まで僕らがどんな気持ちでひとみと呑んでたかわかるか?」

そう言ってブラウスを無理矢理脱がせてきて、ボタンがいくつか弾け飛んだ。驚きのあまり体が動かせなかった。

「おい!やめろよ泰彦!」

英政は泰彦を羽交締めにして静止した。2人とも「それは言わない決まりだろう」とか「もう我慢の限界だ」とか言い合っている。

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