憧れの課長と秘密のコーヒー (Page 4)
「僕はもうコーヒーをいただいたからさ、君もどう?」
私は桜井課長のモノに釘付けになり、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「それとも、コーヒーは嫌いかな?」
コーヒーというより、ミルク…と、少し冷えた頭で思ったが、先に言い出したのは私だ。
「いいえ、コーヒー大好きですよ」
にっこり笑って課長の足元にひざまずき、ペニスに頬ずりをする。
すると、先ほどとは打って変わって優しい右手が私の頭を撫でた。すごく穏やかな顔で。これも、今まで見たことのない桜井課長の顔…。
「いただきます…」
私は髪を耳にかけ、先端をパクリと咥えこんだ。
ふぅ…、と課長の息が漏れるのが聞こえる。
ふと見上げると、目を固く閉じ、眉間にシワを寄せている。こんな余裕のない桜井課長の顔も初めてだ。
じゅぶじゅぶと音を立てて上下に頭を動かしていると、今度は深呼吸が聞こえる。
再び優しい右手で頭から頬を撫でられ、
「すごく気持ちいいよ、結衣ちゃん…」
平静を装った桜井課長の顔は赤かったが、初めて名前を呼ばれたことで、私の顔の方が真っ赤になっていたかもしれない。
先端をチロチロと舐めたり、硬くなったカリ首に唇を引っかけたり、知りうる限りの技術を出し切って、課長の期待に応えたかった。
時折聞こえる、んっ、はぁ、という息遣いが、なんとも色っぽく、イッたばかりの私の体がまた火照る。
ズチュズチュと吸いながら上下に動かしていたら、頭をグッと掴まれた。
そしてさらに激しく、奥へと、動くよう誘導された。
少し苦しかったが、これはもしかして…!?
ビュッ、ビュルルッ。
私の口の中は、白くて苦い、桜井課長のコーヒーでいっぱいになった。
桜井課長は背もたれに体を預けて上を向き、ハォハァと大きく肩で息をしていた。
つんつん、と太ももをつついて顔をこちらに向けさせると、ゴクリと喉をならして白いコーヒーを飲み干した。
「ごちそうさまです、桜井課長……っ!」
真っ赤な顔で無理矢理笑ってみせる。
―――
気付けば時刻は22時半を回っていた。
さすがに帰らなければ…。
でも椅子が…汚れてる…。
ふと我に返り、恥ずかしさが込み上げる。
「課長ぉ、この椅子どうしましょう…」
半泣きで助けを求めると、桜井課長は
「今からコーヒーぶっかけて、『こぼしちゃましたー』って月曜にでも言えばいいだろう」
と淡々と答える。
さすが、機転が利くなぁ、と感心してしまう。
「もう遅いし送るよ?それとも…」
桜井課長は含みを持たせた笑みを浮かべる。
もちろん私は家へは帰らなかった。
―――
それから『コーヒー』は私たちの秘密の合言葉になった。
「コーヒー、飲む?」は
『今日の夜空いてますか?』
Fin.
言い回しが凝っていて、楽しく読めました。
匿名 さん 2020年5月20日