憧れの課長と秘密のコーヒー
うちの課長は仕事ができてイケメンで、いつも助けてくれるし私の憧れの存在。ある日仕事でミスをした私の残業を手伝ってくれたお礼に、コーヒーをご馳走することになったんだけど…それ、コーヒーじゃありませんから!!!
ある金曜日。
私は印刷済みの会議資料のミスを先輩から指摘され、作り直すことに…。
これでいいって言ったの、先輩じゃん…。
心の中で悪態をつきながらも、直すしかない。
今日は残業だな…。
金曜なのでみんな帰宅が早い。
ため息をつきながら印刷した書類をまとめていると、課長に声をかけられた。
桜井課長は、30代にして課長職に就いたエリート。
仕事もできるし優しいし…何よりイケメンなのだ!!
「後はホチキス留めだけ?手伝うよ」
課長は私の隣の席へ腰を下ろした。
「あ…ありがとうございます、すみません私のミスなのに…」
「部下のミスをカバーするのが上司の仕事だ。気にするな」
そう言ってパチパチとホチキスで資料をまとめていく。
相変わらず優しいし、顔がいい…。
私は憧れの課長と残業できるなんて…と、心が少し軽くなった。
―――
2人は無言でホチキスを留め続け、気付けばもう21時だった。
「すいません、こんな遅くまでお手伝いしていただいて…!」
私は深々と頭を下げた。
「最初にも言っただろう、気にするなと」
でも…。
「あのっ、コーヒー!せめてコーヒーご馳走させてください!」
返事を聞く前に私は自販機へ駆けだしたが、ガシッと手首を掴まれた。
え?
「気を遣ってくれてありがとう。君は優しいんだな」
でもその優しさが時につけこまれることもあるから気をつけるように!
とも言われてしまった…うぅ、図星ですぅ…。
私が下を向いてどんより落ち込んでいると、
「じゃあお言葉に甘えて、ご馳走になろうかな。君の、コーヒーを」
ん???
課長に手を引かれ、椅子に座るよう促される。
そしてガバッと脚を開かれて、膝を手すりに引っかけ固定されてしまった。
言い回しが凝っていて、楽しく読めました。
匿名 さん 2020年5月20日