元教え子の腕の中で蕩ける私… (Page 2)
「そっか…そんなに経ってるのね…」
それから、たくさんの話をした。
進学した高校では陸上部だったこと。
大学では哲学を専攻していること。
晴れて就職も決まったこと。
元教え子の成長を嬉しく聞きながら、私も、S中での思い出、N中は少し遠いけれど、なかなか楽しくやれている、なんて話をした。
ずっとニコニコしていた彼が、ふと真面目な表情になった。
「先生…ご結婚は?」
「え?ヤダ、なに急に…」
不意打ちを食らった私は、ちょっと笑ったが、彼の真面目な表情は変わらなかった。
「…まだ…してないよ…。半年前に彼とも別れちゃったし…」
そこまで訊かれてないのに、思わず言ってしまった。
「そうなんだ…。先生、僕と付き合ってもらえませんか?今だから言うけど…中学のとき好きだったんです…」
そこまで言うと、元教え子は下を向いた。
顔が真っ赤になっていた。
単純に、とても嬉しかった。
伊藤くんがすごくかわいらしく見えた。
「でも私、8歳も年上よ?」
「そんなの関係ない。…先生、今すぐ二人きりになりたい。先生はイヤですか?」
二人きり。
それがどういうことか、30歳にもなればもちろんわかる。
「え…その…えっと…」
戸惑う私の手を握ると、伊藤くんは立ち上がった。
*****
私たちはラブホテルの一室にいた。
どうしていいかわからない私を、伊藤くんは強く抱きしめてきた。
「先生、俺、嬉しい…。こんなに近くに先生がいる…。卒業してからもずっと好きだったんだよ…」
「伊藤くん…」
緊張のあまり、彼の腕の中で小さく震える私。
「『伊藤くん』はやめて。『タクミ』でいいから。…ね、ハルカ…」
元教え子に、初めて下の名前で呼ばれてドキッとする。
さらに、彼が大人の男だと感じさせられた。
…いや、このたくましい腕に抱かれ、そんなことはすっかりわかってはいた。
「タ、タクミ…くん…。シャワー…、私シャワー浴びてくる…」
とても恥ずかしくなって、腕をふりほどこうとした私に、
「ダメ。ハルカの香り、そのまま嗅ぎたいから」
強い口調で言うと、抱きしめた格好のまま、私をベッドに押し倒した。
「ダメだよ、汗かいてるし…ねえ…タクミくん…」
無視して、私の唇を強引に奪う。
「…ム…フゥ…」
唇の中に舌が忍び込んできて、私の舌はあっという間に絡めとられた。
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