お隣から聞こえてくるあの声の正体を知りたくて (Page 2)
「うーん…」
もう一度イケるかと思ったがどうにも難しいようだ。仕方なくショーツの中から手を抜くと、今度は再び壁越しの音に集中し始める。
壁越しに他人に聞かれているなんて思いもしないのか、先程よりも甲高い、吐息混じりの声が耳を澄まさなくてもよく聞こえる。
(すごい激しいなぁ…。一体どんな風にされればそんなに気持ちいいんだろ?)
ふと莉奈の頭に妄想が浮かぶ。あの人はどんなふうに私を抱くのだろう?水音が聞こえたのは、じっくりと舌を使ってくれているんだろうか?
そこまで考えたところでハッとする。
(いやいや、付き合ってもいないし、よく顔を合わせる相手なのに、何考えてるんだろう!?)
慌てて頭をぶんぶんと振ると妄想を振り払うように勢い良く立ち上がった。すると急に立ちくらみに襲われてしまい、思わずよろけてしまった。
ごんっ!
勢いよく壁にぶつかってしまう。
(し、しまった!)
隣の部屋からは喘ぎ声がぴたりと止み、またぼそぼそとした話し声が聞こえ始めた。
莉奈は慌てて着替えると、財布と勉強道具だけ持ってアパートから逃げ出した。
*****
時計を見ると午後7時だ。日はすっかり落ちてしまった。
莉奈はあの後、近所の図書館でもんもんとしながらなんとか課題をこなし、帰路についていた。
その途中何か買って帰ろうかとコンビニに寄ってジュースの棚を物色していたところを、不意に話しかけられた。
「こんばんは」
隣の部屋の男性だった。寝癖のついたままの髪型で、眠そうな表情をしていた。
「あ、こ、こんばんは…」
気まずく感じてしまい、言葉がなかなか出てこなかった。
しかし男性は気にしていないようで、続けて話し始めた。
「大学生だっけ?こんな時間まで勉強かな?」
「え、あ、はい…。まぁ…」
「そうなんだね。偉いなぁ。僕なんか何もしてないよ。今日だって、ほら。これで3本目」
そう言って男は手に持っていた缶ビールを見せた。
「良かったら1本買ってあげようか」
「あ、いえ…。大丈夫です。私、お酒はあんまり…」
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