おもちゃじゃないんです

・作

金曜の夜、いつもより忙しいレストランのバイト。女性のお客様がやらしい動画を見てて、女性がこんなの見るんだ…って思ってる間もなく、私一人で後片づけ。優斗さんが手伝ってくれると思いきや、キスされて、制服脱がされて…。優斗さん待って!「仕事中こんなことしてたんだ?」濡れてる中から引き出されたモノ。違うんです、それ…。

間違えて、あんなメッセージ送って来るなんて…。

「ミサのあそこガバガバwww」

そのメッセージには触れず、直樹に別れを切り出した。

「なんだよ突然。俺、別れる気ないから」

「好きな人できたから…」

そういって別れた日、ネットで膣トレの道具をポチった。

直樹の言葉、自分では分からないし、気になったから。

ビックリした…アノ中も筋肉痛になるんだ。

”ひょうたん”みたいなボール、1つから2つに増やした今日、金曜ってこと忘れてた。

普通に忙しい週末なのに、欠員が出て、私も含めて皆んなせわしなく動いてる。

もちろん、優斗さんも。

このテーブルは鴨のローストね…。ん?このテーブルの人、何か動画見てる…嘘、女の人もそんな動画見るんだ…って、盗撮動画?

「お待たせいたしました」

前方から行けばよかった…お客様、スマホ慌ててテーブルに置いてた。

指先でアップにした動画、椅子に座った女の人が、男の人にフェラしてたの私も見えたんだけど…。

「周りのお客様に迷惑掛かるでしょうか?」

「俺以外の誰かにいった?」

優斗さんの言葉に私は首を横に振った。

「次、注文があったら俺が行く。ありがと」

「ありがとうございます」

やっぱり、頼りになるな、優斗さん。

「あ…俺、行くから」

さっきのテーブルの女性…あれ?男性だ…ふたりで来てるんだ。

他のテーブルのお客様と目が合い、足早に歩きながら、優斗さんを見た。

優しい笑顔でスマートに対応してる。

大人の余裕…彼女いないって耳にしたけど、本当かな。

「あのテーブルのお客様、ちょっと変だった。ありがとう、いってくれて」

優斗さんは、おっきい手を私の肩に置いていった。

嬉しかった。

でも、現実の忙しさがなくなるわけじゃない。

慌ただしかった営業時間が終わって、目の前に広がっているのは大量の片づけ。

「俺にもやらして」

優斗さんは腕をまくりながら、微笑んでる。

「いえ、バイトの仕事なんで」

「明日もミサちゃん、シフト入ってるし、女の子ひとり任せて正社員が帰れないっしょ?」

前にも手伝ってくれたけど、優斗さんとふたりっきりって初めて。

「お言葉に甘えさせてもらいます」

「もっと頼っていいんだよ?ミサちゃん、ひとりで抱え込んじゃいそう」

「…気を付けます」

「”ありがとうございます”でいいから。あ、何時に片づけ終わるか賭けない?」

「はい!私、奢ります」

「余裕だねー。でも、飯は今度でいいよ」

今度?!…期待していいのかな…。

「1時30分に終わらせます!」

「俺もバイトしてたんだよ?」

「わっ!」

「そんな驚く?傷つくな…」

優斗さんの体温、感じる…。

「ミサちゃん、こんなに背小さかった?」

あ…頭ぽんぽんするの、止めてください…。

「ほんと可愛いよな、ミサちゃん…」

おでこ…優斗さん、近いです。

「彼氏と別れたってほんと?」

「なんで知ってるんですか…」

「やっと、本人に聞けた」

優斗さんの吐息が私の顔にかかり、そのままキスされた。

「優斗さん、彼女いないんですか?

「いたら、ミサちゃんにキスしないでしょ?」

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