疲れた時には、年下の犬系男子が愛でたくなる (Page 2)

「ごめんね。お待たせしちゃって…」
「気にしないで。俺が押しかけちゃったんだし」
「押しかけたって…私が誘ったのに」
「そうそう。俺、おねーさんに誘惑されてって…あっ、名前!」
「ん?」
「俺、理人。おねーさんは?」
「あっごめんね言ってなかったね。私は祥。宜しくね」
「祥さんは何をしてる人?」

理人君に質問攻めにされながら、温かいお茶を淹れる。
理人君は25歳で3つ年下らしい。

「おねーさんはデザイナーなんだ?俺、何してると思う?」
「カッコイイしセンス良いから…美容師とか?それともアパレルかな?」
「ハズレ!出張ホストだよ♪」
「出張ホスト…?」

端正な顔立ちと、フットワークの軽さの理由が分かった気がした。

(出張ホストって…何をするんだろう??)

「整体師だったんだけど、お客さんに誘われることが多くてさ」
「あぁ分かるかも…カッコイイもんね…」
「でも俺、自分の技術で指名を取りたかったんだよね」
「何でそれで出張ホストなの?」
「うちの店、本番NG(笑)」
「あぁ、断りやすいのね」
「そうそう。お店に所属してるからプライベートは会えませんって言えるし」
「なるほどぉ…頭良い」

『外見で判断しちゃいけない』って良く言うけど。
理人君はしっかり軸がある子みたいだ。

「出張ホストって、デートとかするところもあるんだけど、俺はマッサージしかとらないの」
「理人君、そんなに整体好きなんだ?」
「うん。固かった筋肉がほぐれてきてほわ~んってしてる顔見るのが好きなの」
「あ~分かる。私たまに寝ちゃうもん(笑)」
「寝ちゃうのは悪いことじゃないんだよ。ホルモンが関係しててね…」
仕事の話になると理人君は凄く真剣な顔になった。

「…理人君凄いね。分かりやすいなぁ」
「自分の身体なんだから、勉強して大事にしよ?」
「確かに。そろそろ30だしねぇ…」
「祥さんPC仕事?肩凝るでしょ?」
そういいながら理人君は、私の肩に指を滑らせた。

「えっ、悪いよ。本職でしょ?」
「シャワー借りちゃったし、洗濯もしてもらってるし。お礼にちょっとね」
「…あっ、そこ痛いかも」
「祥さん凄いゴリゴリいってる」
少し強すぎるくらいの圧が気持ち良い。
イケメンで、話が上手で、そのうえマッサージも上手くて。
そりゃ人気が出ない筈はない。

「あぁ…いいねぇ…」
つい声が出てしまう。

「祥さん、ここは?」
「あっなんで分かるの?」
「ここもですよね~♪」
理人君は嬉しそうに凝り固まった体をほぐしていく。

「祥さん、ベビーオイルある?」
「あるよー。ホホバオイルとかも」
「アロママッサージするの?」
「この間買ってちょっとやって放置!」
「んじゃそれ借りて…大きなバスタオル2~3枚貸して」
「持ってくるね」
バスタオルとオイルを手渡したら。

「じゃあベッドに行こうか♪」
理人君がニッコリと微笑んだ。

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