終業後はサイボーグ系上司をどろどろにとろけさせています。 (Page 5)

私たちがこうなったのも、彼の『殻』がきっかけだった。

部署の飲み会の帰り道、酔いつぶれた一人を私と蒼矢くんで協力して最後の一台のタクシーに蹴り込んだら、私が終電を逃して。
そのまま何となしに、二人で飲む流れになって。

二十四時間開いている洋風居酒屋のカウンターの隅で、グラスを手に言われた。
誰にも素を見せられないのが自分の弱さだと思っている、と。部下である君になんでこんな話をしてるのか、自分でも分からないけど、と。

無表情なのにひどく脆くて頼りなくて、触ったらすぐに壊れそうな横顔を見て、思ったのだ。
これが、めちゃくちゃに歪むところを見てみたい、と。

きゅんきゅんと奥が締まって、私の目の前もちかちかと白く明滅を始める。
私は手を放すと、蒼矢くんに告げた。

「ごめんなさい。意地悪はおしまい」

同時に、彼の頭上の腕の拘束を解く。ネクタイのしゅるしゅるという音を聴きながら、私はどさり、とベッドに横たえられる。
ぐぷん、と奥を突かれて高い声が漏れ出た。

私を組み敷いても彼の表情は私にすがろうとする頼りなくて弱くて可愛いもののままで、私は満足感で奥がきゅうきゅうと甘く痛むのを感じた。

「はなえ、さん」
「好きに動いていいですから、ね?」

彼が最後の律動に向けて腰を引くのを感じながら、私は目を閉じた。

Fin.

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