新米美容師の私は、同じ美容室で働く先輩に片想いしていた。ある日の閉店後、私にシャンプーの仕方を教えてくれた先輩に、突然キスされて…
新米の美容師として勤務する未羽は、同じ美容室で働く先輩の日向に片想いしていた。閉店後はいつもカットの練習などに付き合ってもらっており、ある日、シャンプーの仕方についてレクチャーを受けることに。未羽の髪をブローしていた日向が、突然キスしてきて…
「ありがとうございました!」
最後のお客様をお店の外まで見送ると、私は可愛く描き込まれたボードを片付けて内鍵を閉める。
私はこの春に美容学校を卒業したばかりの新米美容師で、まだお客様の髪を切ることはできない。
見習いとしてスタートし、今は先輩美容師たちのお手伝いを中心に行なっている。
「日向(ひゅうが)先輩、お客様が帰られたので鍵をかけました」
「ありがとう、未羽(みう)ちゃん。じゃあ、掃除が終わったら今日はシャンプーの練習をしようか」
「はい!」
同じ美容室に勤める4歳年上の日向先輩は、ワンレンのショートヘアが似合う素敵な男性だ。
勤務初日に初めて顔を合わせた時から、私は彼に心を奪われてしまった。
でも、整った顔立ちや優しい振る舞いから、とても女性に人気のある人なのだということは、すぐに察しがついた。
実際、日向先輩を目当てに来店するお客様はとても多く、指名される数は店の中でも常にトップだった。
日向先輩のことを知らずに来た新規のお客様も、次からは彼を必ずと言っていいほど指名する。
その姿を見るたびに、仕事で失敗ばかりしてしまう私は小さく嫉妬した。
私だって、彼に髪を切ってほしい、と…。
「どうしたの?」
「えっ?」
驚いて振り返ると、日向先輩も少し驚いたように目を見開いた。
私は箒を片手にぼうっとしていたらしい。
「あ、掃除しようとしてて、すみません。すぐにやりますから!」
そう言って一歩足を踏み出した瞬間、足元にあった大量の髪の毛で滑って派手に転倒した。
どしんっと派手な音がして、私は穴があったら入りたいと思うほど恥ずかしくなる。
「大丈夫!?髪の毛って、踏むととてもよく滑るんだよ」
心から労わるような口調で、日向先輩が右手を差し出した。
私はドキマギしながら、お礼を言ってそっと自分の手を伸ばした。
エロい
ゆっちゃん さん 2020年5月4日