私と彼はオナニーフレンド

・作

キスやハグをして一緒のベッドで寝るけれど、挿入ありのセックスはしない。そんな関係の玲奈と涼司は恋人同士ではなく、自慰を見せ合う『オナフレ』だった。お互いの性癖や痴態を受け入れ、夜のひとときを有意義に過ごせる『特別な友達』の二人は、今日もいつものラブホへと向かい…

見慣れたネオン看板をくぐり、私と涼司は連れ立ってフロントへと向かう。彼と会うのは決まってラブホテル。だって私と彼の関係は『特別な友達』だから。

「シャワー、先に浴びるね」
「うん」

いつもの通り、部屋に着いてすぐに私はバスルームへと向かった。胸の高鳴りはあるものの、特に緊張はしていない。今日は待ち合わせの時間が遅かったため、このまま朝まで宿泊予定だ。私がシャワーを済ませた後は、入れ違いに涼司がバスルームへと向かった。

「お待たせ」

私たちの関係、それは自慰を見せ合う友達──言うなれば『オナニーフレンド』だった。キスまでしかしないキスフレだとか、添い寝だけするソフレだとか。いわゆる『セックスフレンド』に満たない関係はいくつかあるが、その派生の1つみたいなものだ。

「ンッ…ッぁ…」

私も涼司もキスは好きだから、特に制限もなく自然に交わし合う。ハグもするし、一緒のベッドで寝る。けれども、挿入ありのセックスはしない。もっといえば、フェラチオもしないし、互いの性器や性感帯に直接触れることもない。

「玲奈の今日の下着、可愛いね」
「ありがと」

涼司は、服や下着を褒めてくれるから好きだ。靴やアクセサリーなどの小物にも目を配ってくれるし、髪色やメイクの変化にも気付いてくれる。涼司自身はいつもシンプルな服装で、ブレがない。性格も穏やかで声も優しくて、一緒にいて居心地が良かった。

「新しいバイブ買ったんだ~」
「女性向けって、スタイリッシュなデザイン多くていいよね」
「涼司は?」
「いつものエネマグラ。色々試したけど、結局これに落ち着くんだよね」

私たちのプレイは、ラブコスメの紹介から始まることが多い。共通の『自慰行為を見られるのが好き』という性癖があって、さらに私も涼司も『セックスは面倒くさい』と思っている。

「今日は乳首だけでイクこと、目指す…」
「よし、頑張れ。次は私もそれやってみようかな」

妊娠や性病のリスク。体液の交わりに、体の相性。相手を気遣い、ときには相手に合わせて、擦り合わせながら進めていく必要性。そのほか所要時間等のことも考えると、私も涼司もセックスの『コスパの悪さ』が苦手で、性欲の解消なら自慰が一番という価値観だった。

「ッぁ…ぁ、これ…振動、つよい…」

パステルピンクの器具を陰部へとあてがいながら、私はぞくぞくと体を震わせた。指で柔肉を割り開いてクリトリスを露出させ、鈍い音を奏でる先端を押し当てる。気持ちがいいけど刺激が尖りすぎていて、これじゃぁすぐに達してしまいそう。

「玲奈、びちょびちょ」
「ンぁッ…涼司だって、先っぽからいっぱい垂れてるよ」

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