癒し系年下君の舌遣いがエロ過ぎる
保険の外交員として忙しい毎日を送る浅井美羽(アサイミハネ)は、いきつけのカフェで美味しいコーヒーを飲む時間がとても好きだった。そのカフェの店員である年下の佐鳥君の存在も、美羽の癒しの一つ。だけどそんなある日、ヘトヘトに疲れた美羽を癒したいと、佐鳥君がいきなり耳元で甘く囁いてきて…
「はい、では明日の午後七時にお伺いいたします」
相手が電話を切ったのを確認した後、私もスマホをタップする。
それをカバンの奥に仕舞い込むと、ふぅーっと長い溜息を吐いた。
「明日も残業かぁ、最悪だ」
「大変だね、生保レディは」
「就業時間なんて、あってないようなもんだからさぁ…まぁそれでも、昔よりずっとよくなってるんだろうけどね」
「毎日毎日、ホント偉いなぁ。浅井さんは」
「私からしたら、こんな癒し空間提供できるマスターの方が、よっぽど凄いよ」
この場所は、私の憩いの場。もう何年も前から通ってる、大通りから離れた場所にある小さなカフェ。
お客様の家に契約書類を届けた帰りに偶然見つけて以来、すっかりお気に入りになってしまった。
遅くまでやってるから、フラッと立ち寄りやすいしね。
コーヒーもケーキも軽食も、全部私好み。
私の父親と同い年くらいのマスターも、たまに顔を出す奥さんも、穏やかで優しくて聞き上手。ちょっとレトロな内装も音楽もいい。
これだけの素敵要素が揃ってる、それだけでも最高なのに。
「浅井さんみたいな頑張り屋の女性、僕好きだなぁ」
私の横に立ち、ニッコリ柔和な笑みを浮かべるキレイな顔立ちの男の子。
彼は、半年ほど前にこのカフェにバイトにやってきた、佐鳥圭人(サトリケイト)君だ。
身長は多分175cm前後で、細身に見えてトレーを持ってる時の腕の筋肉とか、意外とあるんだよね。
砂糖顔の可愛い顔立ちに、ツルツルの肌。スラッと脚が長くて、いかにも今時のモテ男子って感じ。
色んなカフェを転々とバイトしながら技術を学んだり資格を取ったりして、ゆくゆくは自分のカフェをオープンさせるのが目標なんだって。
可愛い系なのに意外と野心家ってところも、ギャップ萌え。
もともとの癒し空間が、佐鳥君がバイトに入ったことでさらに居心地の良い場所になった。
いつかは辞めちゃうんだろうけど、それまで佐鳥君をめいっぱい堪能させてもらおう。
「ここの人達はホント優しいよねぇ。生保レディやってるっていうと、自分も勧誘されるんじゃないかって敬遠する人ばっかりなのに」
「僕は毎日、浅井さんが来てくれるのが待ち遠しいけどなぁ」
「もう、相変わらず口が上手いなぁ佐鳥君は」
「本心ですから」
「浅井さん聞いてよ、この前佐鳥君ここで告白されてたんだよ。みんなの目の前で」
「えぇ、それ凄い。私も見たかったなぁ」
「ちょ、マスターそれいわない約束だったじゃないですか」
ニヤニヤしてるマスターと、恥ずかしそうな佐鳥君。やば、めっちゃ可愛い。
「あぁ、この場所があるから私生きていけるわ」
名残惜しいけど、そろそろいかなくちゃ。バッグから財布を取り出して立ち上がった私に、マスターがにこやかに片手をあげた。
「ありがとう、浅井さん。またいつでもグチこぼしにきてね」
「僕も、待ってます」
「ありがとうございます。ご馳走様でした」
よし、明日からも仕事頑張ろう。
ドキドキしました♡
読んでてドキドキしました!ありがとうございました!
オブリコ さん 2021年12月1日