いつもの電車に乗っていたのに、痴漢の手で気持ちよくされちゃうなんて…

・作

いつもの時間、いつもの電車に乗ったはずの私。いつもと違うのは女性専用車両に乗れなかったこと。スマホを弄りながら会社の最寄り駅に着くまで満員電車を耐え抜くはずだったのに…どうしてこんなに気持ちよくなっちゃうの~!?

「やばい!遅刻だ!」

いつの間にスマホのアラームが鳴ったのだろう、いつも遅刻なんてすることないのに…。

きっと軽い気持ちで見始めた懐かしいドラマをつい全話見ちゃったせいだな…。

「あー、もう朝ごはん食べてる時間ない!」

急いでいつものスーツに着替えて、いつもの倍速に近いスピードで何とかメイクを終える。

「いってきまーす!」ハイヒールに足を突っ込みながら、誰もいない部屋に声を掛ける。

これは引っ越してきた時からの習慣。

駅まで普通に歩けば10分強、でも今日は7分で着かないと通勤特快に乗り遅れる。

朝からうんざりするような太陽の下、一気に走り出した。

*****

「はぁ…セーフ…」

一気に階段を駆け下り、一番近くの車両に滑り込んだところでドアが閉まった。

汗でメイクがドロドロになっていないか気になるけど、とりあえずいつもの電車には乗れた。

いつもは先頭にある女性専用車両に乗るんだけど、今朝だけは仕方ない。

おじさんばかりの独特の匂いに眉を寄せつつも、会社の最寄り駅までは30分。何とか耐えられそう。

なんとか息も整い、一息ついたその時だった。

…あれ?お尻に何かあたってる?でも満員電車だし仕方ないよね…。

そう諦めた数分後、その手は明らかに意思を持って私のお尻を触り始めた。

これって、あたってるってレベルじゃないよね?ま、まさか痴漢…!?

いつも女性専用車両に乗っている私には、痴漢にあったという経験はなかった。

まさかね、私なんてナイスバディーじゃないし…気のせいだよね…

そう思っているうちに、味を占めたのかお尻を揉むようになってきた。これ、明らかに偶然じゃない!

でも怖くて声が出ない。まわりのひとも新聞やスマホを見ていて気が付いてくれない。

私にはつり革をぎゅっと握って耐えることしかできなかった。

柔らかいお尻を十分に堪能したらしい手は、あろうことかタイトスカートの裾に手を差し入れてきた。

少しずつあがるスカートの裾。でも人混みで誰も気が付く様子はない。

いったいどうなっちゃうの…私はいつのまにか涙目になっていた。

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