毎週金曜日、バーにいる推しメンと濃厚えっち (Page 3)
なかなかに印象的な出会いの後日。
マスターが教えてくれたのだが、七地さんはマスターの学生時代からの友人らしい。
今までは地方にいたのだが、転勤で東京勤めになったという。
マスターに叱られたからか、七地さんは私に話しかけてくることもなく、私も七地さんに話しかけることもなく、気がつけば二ヶ月が経とうとしていた。
交流こそなかったものの、この二ヶ月、私はこれまでの宗派をあっさり変え、七地さんがわりといる金曜日の夜に、せっせと仕事を終わらせて、バーに行くようになっていた。
仕事で疲れた身体には、美味しいお酒と目の保養が一番だからである。
七地さんの背中から腰を見ているだけで、酒がよく進むのだ。
*****
――そして、今日。
七地さんを肴に飲み過ぎた私は、なぜか七地さんの横で飲んでいた。
「へえ、そんなに俺の身体が好みなの?」
「そりゃあもう!初めて見たとき、目が離せませんでしたもん」
酔った私は、いらんことまで赤裸々に告白する。
七地さんも笑いながら「俺も、脚の綺麗な子だな~生で見たいな~って思ってたよ」なんていってくれた。
お世辞でもかなり嬉しい話だ。
確か、帰る前にトイレに立ち寄って…そこで七地さんに声をかけられたのだ。
ほろ酔いかつ推しに声をかけられて、ついつい勧められた席に座り――それからどのくらい飲んだのやら。
「特に腰と背中が最高。ずいぶん締まってますけど、何かスポーツとかされてるんですか?」
「学生時代、ずっと陸上やってた!今でも身体動かさないと落ち着かなくて、ジム通ったり走ったりしてるなー」
「あはは、私と真逆だ。体育がなくなってから、運動する機会がめっきり減って…」
七地さんの定位置であるカウンター奥の席に、二人で並んで座って、私たちは打ち解けて楽しいおしゃべりをしていた。
事態が動いたきっかけは多分、このとき私が、軽く七地さんの肩にもたれたことだろう。
背もたれのない、高い丸椅子が心許なくて、何かを支えにしたかったのだ。
それが七地さんの肩だったのは、お酒の勢いと下心ってヤツで…。
なんとなくお互いに黙り、七地さんの大きな手が、意味深に私の指の腹を撫でた。
バーの薄暗い電灯の下で、目が合う。人の目がなかったら、きっとキスしてた。
しばらく戯れのように指を絡ませ合って――離れていった七地さんの指が、私の太ももに置かれる。
「――いい?」
何が、と訊くほどウブな年齢でもない。
七地さんの爪が、パンツスーツ越しに下着のクロッチ部分を、そのさらに奥の割れ目を掠めるように動いた。
すっかりご無沙汰だった、他人の手による快感が、ズボンに阻まれてもどかしくて…あー…、そうでした。
思い出した。
いいからとっととホテルに行きたいっていったのは、私だ。
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