クズ元彼と別れたばかりの私が初めて愛を感じた、後輩くんとの夜
里奈(りな)は大学生。1週間前に元彼に浮気をされて別れたばっかりだ。1歳下のバイトの後輩、奏斗(かなと)は私がクズ元彼と付き合っている時も気にかけてくれていて、2人で飲みに行くことになった。「俺だったら里奈さんのこと大事にします」心地良さと酔いに任せてそのままホテルに入ると、私に好意を寄せる後輩に襲われて…?
「それでさ、私浮気されてたんだよ」
「…俺、ずっと言ってたじゃないですか。元彼さんはあんまりいい人じゃないって」
「あはは、そうだね。私、盲目だったのかな」
4杯目のジャスミンハイを口に運ぶ。1週間前、私は元彼と別れた。周りの人に恋愛の話をするたびに、そんな人やめなよ、危ないよ、別れたら?と言われてきたが、依存していたのか私は別れることができなかった。
友達伝いで聞いたことだが、私の知らないところで色々な女の子と遊んでいたらしい。浮気をされていたことがわかって、私は我慢ができなくなってとうとう別れを切り出したのだった。
「奏斗は優しいね」
「そんなことないっすよ、里奈さんだからこうしてるだけ」
「どういうこと?笑 そんなことより奏斗は最近どうなの~?」
「どうもしないっす、なんもないです」
「えー、めっちゃいい子だしかっこいいのに!」
「それ本気ですか?」
バイトの後輩の奏斗は私が元彼と付き合っている時からよく相談に乗ってくれた。その度に、私が悲しんでいるのを見るのは辛いと言ってくれる、優しい後輩だった。
「奏斗も、いい彼女ができたらいいね」
「…それ、里奈さんに言われるのはなんか嫌です」
「えっ?!なんでよ!奏斗のこと可愛がってるのに?!」
「…なんでもないです」
奏斗が不機嫌そうに頬を膨らませて、レモンサワーを煽る。お酒は強くないくせに、今日はたくさん飲んでいる気がする。だって顔が赤いもん。
「ねえ里奈さん、飲み過ぎじゃないですか?顔、いつも赤くないのに、赤い」
「え、まじ?やばいなあ、飲みすぎたかな…」
誤魔化すように笑うが、奏斗は笑わない。
「奏斗もでも、顔赤いよ?いつも赤くないのに」
奏斗の頬をつんつんとつつくと、奏斗はグラスを置く。
「…里奈さん、俺、後輩ですけど男ですよ」
「う、うん、知ってるよ?」
「いや、里奈さんはわかってない。わかってないですよ」
奏斗は机の上に放り出していた私の手を握り、指を絡める。
「…奏斗?」
「里奈さん、今日、帰したくないです。いいですか?」
「え?」
真剣な奏斗の表情に何も言えなくなる。酔っているとはいえ、奏斗とはずっと仲が良かったし、元彼とうまくいかない時も一緒にいて1番楽しいのは奏斗だった。
ろくに返事もできないうちに、奏斗が居酒屋の会計を終わらせる。私たちはふわふわとした頭と足つきで、そのままもつれこむようにホテルに入った。
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