育ての親から恋人へ、14年間の片想いを実らせて
大学4年生の愛美(めぐみ)は、育ての親である篠宮忢(さとる)にずっと恋心を抱いていた。進路を決める時期になって一人暮らしの打診をしたところ、忢からは彼氏の有無を問われ…勢い余った愛美は、そのまま泣きながら忢に告白をしてしまう。「僕、38歳のおじさんだよ?」と言いつつも、忢は愛美のことを受け入れてくれて…
「愛美、話って何?」
高級マンションの最上階の一室。このフロアの部屋は全て、いま私の目の前にいる篠宮忢さんの持ち物だ。彼は私にとって育ての親のような存在で、そして引き取られてから14年間ずっと片想いし続けてきた相手でもある。
「これからの、こと。もう4年生だし、就職とか卒業後の進路とかも決めないと」
「あぁ、それね。前にもちょっと言ったけど、愛美の好きなようにすればいいよ。僕の会社で働いてもいいし、別に家にいたっていいし。どこか別のところで働きたいなら僕も探すの手伝うよ。まぁ留学なんかも構わないけど…離れて暮らすのは心配だなぁ」
現在、私は大学4年生。忢さんは自身が大学生のときに起業して、38歳になった今では複数の会社を経営している。私の両親が離婚した際、親権をとった実父が離婚後まもなく蒸発したため、8歳のときに遠縁の親戚だった忢さんに引き取られた。
「一人暮らし、やっぱり駄目?」
「絶対に駄目じゃないけど。というか、今も半分くらい一人暮らしだし、わざわざこのマンション出なくても…ってだけだよ」
私の住居は、同じフロアの隣の部屋。中学生までは忢さんと同居していたが、高校入学と同時にマンションの部屋をポンと1つ与えられて今に至る。基本的にはそれぞれ別の生活リズムで、自由に過ごす方針の私たち。とはいえ週に何回かは一緒に食事をするし、忢さんの仕事場に顔を出したり、2人で遊びへ出掛けることもあった。
「なに? 彼氏でもできた?」
「いや、そんなんじゃないって」
私はこれまで、誰ともお付き合いをしたことがない。だって忢さんと比べてしまえば、同年代の男子なんて何も持っていないに等しかった。逆に忢さんくらいの年齢の男性を見ても、童顔で若々しい忢さんと掛け離れすぎていて、恋愛対象にはならなかった。
「高校生か大学生になったらね、彼氏のひとりくらい連れてきてくれるかなって、思っていたんだけど」
「ごめん、期待に添えなくて」
「謝ることじゃないよ。責めるような言い方だったかな、ごめんね。たださ僕はね、愛美に年相応の青春を楽しんでもらいたいだけだよ」
そんな風に言われると途端に私の胸は寂しくなって、ぎゅっと詰まる思いがした。私は忢さんにとってはいつまでも子どもで、娘のようには扱われても女としては見られていないんだ。だからいっそ、完全に離れた場所で一人暮らしをした方が気持ちが楽なのでは、なんて最近は考えている。
「好きな人はいるよ、ずっと」
「そうなの? 初耳なんだけど…何で今まで教えてくれなかったの?」
育ての親
これも、すごくいいです。オナニーしたくなっちゃった
鈴木 さん 2022年7月20日