彼と念願の初めてのあまあまえっち
六年前から付き合っている美鈴と誠。だが誠は美鈴に手を出したことがない。そのことを不満に思いながら迎えた美鈴の二十才の誕生日。最近仕事で忙しいのか、なかなか連絡の取れない誠とは今日も一緒にいられないだろうと気を落としながら帰宅した美鈴だったが……。
私には三才年上の恋人がいる。
そいつと付き合い始めたのは十四才のときだったから、かれこれ六年ぐらい一緒にいることになる。
付き合うきっかけは、向こうからの告白。
当時十七才だった誠は、「好きなんだけど」と、何ともまあ素っ気ない言葉をくれたものだった。
それまで別にそういう目で誠を見たことのなかった私は、でも、
「美鈴」
と珍しく真剣に目を合わせてきた誠に気圧されるようにして、了承してしまったのだった。
それから六年。
実際付き合ってみれば、最初は友達のような感覚でしかなかった誠が、思ったより優しくて、可愛くて、気付けば普通に好きになっていた。
あいつの思惑通りになったみたいで少し悔しいと思わなくもない。
けど、好きになってしまった以上、別にいいかと許してしまうものだった。
そして今、それ以上の問題が私にはある。
誠と、今まで一度も性的なことをしたことがない。
六年も付き合っているのにだ。
もちろん、付き合い始めた当時の私は幼すぎて手を出せないというのはわかる。
でももう十九才なのだ。
「大人になったらね」
何度聞いても誠はそう言って頭を撫でるだけで、私はとても納得できないでいた。
私の周りでは彼氏とそういうことをしたという話を何度も聞く。
私たちより付き合っている時間が長い人なんていないのに。
だからなのか、最近の私は不満がどんどん溜まっていくようだった。
今日は私の二十才の誕生日。
誠は最近仕事が忙しそうで、なかなか連絡が取れない。
どうせ今日だって、私の誕生日だってことなんか忘れてしまっているのだ。
なかばヤケになったような気持ちで大学からの帰路につく。
途中で携帯を見ても誠からの連絡はない。
ため息をつきながらマンションの階段を上って……
「遅かったね」
自室の前に見慣れた姿を見て、私は思わず目を瞬いた。
「誠!?何でいるんですか!?」
「何でって、今日はアンタの誕生日でしょうがね」
そう言いながらカバンから何かを取り出すと、こつんと私の頭に当てた。
「二十才おめでとう」
じわじわと嬉しさが込み上げて、私は誠に思いきり抱きつく。
誠はちょっと、と言いながらも受け止めてくれる。
私がぎゅうと誠に回した腕に力をこめると、誠はやわらかく頭を撫でてくれた。
「入りましょう」
離れて、にこにこと笑いながらそう言うと誠はうなずく。
かりんさんの書く小説は本当に可愛くて好きです。
これからも応援してます。
さん 2020年4月25日