熱気と汗で濡れゆく野外フェス
人生初の音楽フェスに来た楓に2人組の男性の荷物がぶつかる。ワイルドな佑真とイケメンの健人は、楓と同じバンドのTシャツを着ていたことで意気投合し、一緒に行動することに。楽しい時間を過ごしているとき、健人が楓の手に指を絡ませテントの外へ…。肌寒い野外で熱い時間を過ごした直後、テントで寝ていた佑真が出てくる…。
大勢の人たちの後を付いて行きながら、楓は人生初の野外フェスのリストバンドを貰い興奮していた。
「痛っ!」
腰に当たったテントを持っていた2人組の男性と楓は、思わず声を上げた。
「すいません!怪我…え?!」
「あ!オレそのツアーTシャツ欲しかったんだ~」
「大丈夫です…あの…私そのTシャツ持ってます」
「えー?!」
楓と人懐っこいワイルドな男性、そして礼儀正しい爽やかなイケメンの3人は、同じバンドのTシャツを着ていた。
「プレミア付いてるのに~?」
「ツアー行ったときに…」
「えー?!」
ふたりが同時に声を上げると、歩いている人たちが振り返っていた。
「俺たちよりファン歴長いんじゃない?先輩だよ、健人~!」
「あの…フェス初めてなんです…」
「え?もしかして…ひとり?」
「あ…はい…」
ふたりの男性は顔を見合わせて、笑い合った。
「オレたちも初めて来たとき踊り狂っててさ~…」
「あとで話せばいいじゃん佑真。良かったら、一緒に観ません?」
「嬉しい!ありがとうございます!よろしくお願いします、楓です」
楓は興奮して即答した。
「オレ佑真~話、聞きて~!」
「俺、健人。よろしくね」
初めてのフェスで緊張していた楓の気持ちは、ふたりの男性の登場で解れていき、3人でバンドの話をしながらキャンプ場でテントを設営した。
ふたりがバッグの中から出した食事の量に驚いた楓の顔を見ながら、健人がいった。
「楓ちゃん。そこの鍋、取ってくれない?」
「あ、はい!」
大きな鍋を渡した楓の両手を健人が握った。
「俺の手伝ってくれる?」
「あ、はい…」
少し紅くなった楓の顔を数秒見つめ、健人は指先をなぞりながら手を離した。
楓は、自分が持って来たマイボトルを口にして喉を潤すと、熱い視線を送ってくる健人と見つめ合った。
*****
遠くのライブを聞きながら、好きなバンドのファンの人たちと食事をし、大好きな音楽の話をして、楓は時間を忘れていった。
健人の視線を感じて、楓はさっきまでと違う興奮も増していった。
「あ~酒飲みたいな~」
あぐらをかいていた佑真は、ふたりに背を向け 両腕で膝を抱えて寝転がった。
楓の手を、ゆっくりと愛撫するように右側に座る健人が手を重ねた。
「初めの頃、思い出すな?佑真」
「ん~?…そうだなぁ~…」
「た、楽しかったですか?」
紅い顔をしている楓のほうを見つめながら、健人は指を絡ませた。
「お前、眠いんだろ?」
「だめだ~。オレひとまず寝るわ~」
佑真がフラフラと立ち上がると、健人は自然に手を離した。
「私、片付け…」
「佑真、頼むわ。俺、楓ちゃんと行って来る」
健人は楓の指を絡ませて、テントの内側のファスナーを開けて外に出ると、楓の長い髪を触った。
「佑真、俺より手際いいから。楓ちゃんさ…」
「は、はい」
「手、汗で濡れてるけど…俺のせいって思っていい?」
微笑んだ健人は握っている手を自分のパーカーのポケットに入れ、楓を引き寄せた。
楓の下唇を、優しく唇で挟み、半開きにさせた口の中にゆっくりと舌を入れた。
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