クールな同僚の甘いおねだり (Page 2)

「でも、大変なご迷惑を…」

「俺たちもう無関係じゃないんだから、そんな気を遣わないで」

「えっ?」

「付き合ってるでしょ?昨日から。やっぱり覚えてない?」

柏木君の端正な顔が、こちらに近付いてくる。

覚えているわけがない。どうやってここまで来たのか、着替えも、何もかもほとんどが記憶にないのに。

居酒屋で柏木君に会ったことは何となく思い出せるけど、会話の内容なんて思い出せない。

「ご、ごめんなさい。私」

「大丈夫。これからゆっくり思い出してくれればいいから」

流れるように自然な動作で、彼は私の唇にキスをした。咄嗟のことで、何の反応もできない。

「まさか、なかったことにしようなんていわないよね?昨日あれだけ、俺が好きだってしがみついてくれたのに」

「き、昨日…もしかして私達、その…」

「したよ、セックス。それも覚えてないんだ。ちょっとショックだな」

瞬間、沸騰湯沸かし器みたいに一瞬で顔に熱が集まって。

恥ずかしいやら申し訳ないやらで、なんて顔をすればいいのかわからない。

ドラマや漫画でこんなシーン見たことあるけど、まさか自分の身に起こるなんて夢にも思わなかった。

ていうか、エッチしたならこんなに覚えていないなんてことあるのかな。

もしかしたら、柏木君の冗談ってことも…

「いっておくけど、嘘じゃないよ?そんな悪趣味な嘘吐かないから」

「で、ですよね…」

私ホントに、柏木君とエッチしたんだ。

そういわれるとなんとなく、甘い刺激を受けたような記憶もなくはないような…やっぱりないような。

私、服ちゃんと着てるしなぁ。

「東野さん」

「は、はいっ」

「今から、してみる?」

「え…え?」

「俺とセックス、もう一回」

スルリと、骨張った長い指が私の頬を撫でて。

その瞬間、ゾクリと背筋が粟立つような感覚に襲われた。

「よかった。体はちゃんと、覚えてるみたいで」

妖艶な笑みを浮かべる柏木君に、私はそれ以上なにもいえなくなってしまった。

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