ディア・マイ・レイディ! (Page 3)
ベッドに着くや否や、待ちきれないとばかりに誠志郎は未緒を押し倒す。
服を脱ぐのも待たず、髪や首筋、鎖骨などにキスの雨を降らせた。
「ま、まって、まって。せいちゃん、明日のお仕事に支障出たら大変でしょ」
未緒の言葉に誠志郎はあからさまにしょげ返る。しゅんと寝る耳でも見えそうだ。
「私も明日は久しぶりにチケット取れたし、ヨボヨボで行けなくなるのは嫌だよ」
「関係者席渡すっていってんじゃん」
「それはダメ。ハコの中では私はただのファンの一人。それに自力でチケット取って貢ぎに行きたい」
誠志郎がおもしろくなさそうに頬を膨らます。
押し倒されていた未緒は、むくりと起き上がり、逆に誠志郎をベッドに押し倒した。
その弾みでベッドのスプリングがぎしぎしと軋む。
誠志郎は突然のことに驚いて、声も出さずに目を丸くしていた。
未緒が誠志郎の顎を撫でる。
「だから今日はゆっくりなのにしよ」
未緒に撫でられ、ぞくぞくとした快感が誠志郎の身体全身に走る。口元がにやけてしまうのを、誠志郎はどうしても隠しておくことができなかった。
「いい子にできる?」
こくこくと、誠志郎が頷く。
未緒は誠志郎にいいこいいこしてあげる代わりに、丁寧にコンドームを付けてあげた。
勃起したそれは誠志郎のお腹に付きそうなほど、天高く屹立している。
指で突いてやると、我慢も辛そうに小刻みに震える。
「ッ……ね、え」
「ふふふ、ごめんごめん」
未緒が誠志郎に跨り、秘部にペニスの先端を当てがうと、どうにか早く入れようと誠志郎の腰が持ち上がる。
「あッ、もぅ」
こら、と未緒が腰を浮かすと、少し入っていたそれは完全にぬぽっと抜けてしまった。
「ぁあ…ッ、やだ抜かないで……ッ!」
「今日は私が動くんだから、だめだよ」
誠志郎が必死に首を縦に振る。
いい子、と未緒は頭を撫でてやる。ふにゃりと笑って、誠志郎がその手に頭をすり寄せる。
「おれ、いいこでしょ」
完全にとろけた顔で誠志郎がキスを待つものだから、未緒も楽しくなって、それに嬉々として応えたりした。
*****
騎乗位は、入っているという感覚がいつもより強いような気がした。
未緒が誠志郎の上で動くと、誠志郎は苦しそうにんっ、んっ、と喘いだ。
本当は自分からガツガツ動きたいだろうに、未緒がああいったから、健気にも懸命に守っているのだろう。
未緒は愛おしさの中に嗜虐心が芽生えてしまいそうだった。
「未緒ぉ……イキそう……」
汗だらけ、眉をこれ以上ないくらい困らせて誠志郎が呻く。
誠志郎と右手の指を絡ませて、未緒が微笑む。
「いいよ……イッて」
繋いだ手が汗で滑らないように、ぎゅっと強く未緒は握り締めた。
誠志郎の左手に握られたシーツが哀れなほど揉みくちゃになる。
「あっあっ、……あぁッ!」
ゴム越しに温かいものが広がっていくのが伝わる。未緒も小さく身を震わせた。
全部出切るのを待ってから、未緒は膣からペニスを抜いた。
抜かれたそれの勃起はまだ治まっていない。
はあはあと息を整える誠志郎は、物足りない、そんな顔だ。
それでも誠志郎は気持ちよかったね、と上体を起こして未緒にキスをする。未だ屹立の衰えないそれを隠すかのように、くるりと誠志郎が身体の向きを変える。
明日のことなど、もう未緒の頭の中にはなかった。
今度は未緒が腹を上にして寝転んだ。仰向けのまま脚を伸ばして、誠志郎をつんつんと突く。
「未緒?」
ゴムの口を結んで立ち上がろうとしていた誠志郎が振り返る。
振り向いた誠志郎は目の前に広がる光景に思わず目を見張った。未緒の秘すべき場所が細部まで明け透けに見えていたからだ。
薄桃色の花弁の奥で、密やかにヒクヒクとひくついているあれも。
未緒が頬を赤らめて、はにかむ。
「まだ、もう少ししませんか…」
ごくり、誠志郎は生唾を飲み込む。
「おれも……いっぱいしたい」
誠志郎が頭を垂れて、花弁の奥から溢れる蜜に舌を伸ばす。
舌の動きに合わせて、未緒が身体をよがらせる。
「あっ…ぁん……そこ、いや……」
嫌、といわれたところをより熱心に舌で舐めて撫でる。
「…あッ!」
未緒の身体がぴょんと跳ねたのと同時に、髪がシーツの上で長いヴェールのように広がる。
その毛先をすくって、誠志郎が口づけをする。
こそばゆそうに未緒がいった。
「今だけは私だけの王子様だね」
「さっきの…聞いてたのかよ」
居心地悪そうに誠志郎がそっぽを向く。
未緒はサッと大袈裟に口元を隠した。指の隙間からは、ちらりとえくぼが覗いていた。
「もっとキス、どうですか?」
Fin.
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