覗き穴の劣情 (Page 3)

秘めやかに男女がくすくすと笑う。

何を話しているのだろう。いくらカメラをズームアップしても、それはわからなかった。

男は彼女の腕を椅子の背に回し、縄で巻いて手の可動を制限する。

ここからでは見えないが、きっとそれは見事な飾り結びに違いない。彼女の白い細腕に似合う、耽美な装飾だ。

続けて、男は彼女の下腹部に股縄を施した。

彼女の身体を飾る菱縄縛りは、縄が女性器の間を通っていないため、恥部への刺激のために別で縄を掛ける必要がある。……なぜそんな手間なことにしたのだろう、縛りの中で股まで通せばよかったのでは、とぼくは少し疑問に首を傾げた。

股縄は身体を縛っているものより一回りほど細めの縄を使用しているようだ。座っていても股に縄を通しやすいよう配慮したのだろう。

固定されたチェアの上で、彼女が身悶える。

細縄が陰部を擦るのがくすぐったいのだろう。

股縄は女性の敏感なところに深く入り込む。割れ目のちょうど真上に縄を通すからだ。

男が彼女に覆い被さる。おそらく、股に潜らせた縄をおしりに食い込ませるよう引き上げ、後ろで結んでいるのだろう。

彼女が苦悶に顔を歪める。

ぼくは納得した。男は、彼女を観音開きしたまま彼女の股に縄を通すことが目的だったのだ。ほぼ0の距離で、逃げ場のない彼女の恥いる表情を堪能したかったのだ、より羞恥を与えてあげたかったのだな、とぼくも心から同意した。

男が退いて、彼女の完成した全貌が明らかになるのをぼくは心待ちにした。

きっと今頃、ゆっくりゆっくり縄がクリトリスを擦っているに違いない。蕾の上を縄がくすぐっているに違いない。男の手が肌を滑るのと一緒に、一体どれほどの快楽が今彼女の身体を襲っているのだろうか。

彼女の味わう快楽の一片を想像するだけで、ぼくはまだ触ってもいないペニスが善がる思いだった。

男が彼女の足下に跪く。

ぼくはカメラのレンズ越しに身を乗り出した。

焼けた空を背景に浮かび上がる彼女は、宗教画と言われてもぼくはきっと信じただろう。

男が膝をついたまま、カメラを構える。

そのカメラからは何が見えるか、ぼくは妄想を巡らす。

下から仰ぎ見るローアングル。

縄に縛られて、形が歪に突き出た乳房がよく強調される絵になるだろう。寒くはないといえ屋外での撮影、外風の愛撫で乳首はいっそ隠したいほど敏感になっているはずだ。風が撫でるたび、導火線に付けられた火の粉のような快楽が陰部を走る。

どれだけ隠そうと上体を曲げても、後ろ手を縛られているせいで、動きに制限があるし、何より縄が見せつけるかのように乳房を引き上げるから、彼女はきっと眉を寄せることしかできなくて、羞恥心で頭が真っ白になっているかもしれない。

彼女の描く表情に愛しさを覚えながら、身体を拘束する影を追うと、二人で共有した秘密に目を奪われる。

鼠径部を圧迫するように縛られた縄のせいで、ぷっくりと盛り上がる恥丘。肘置きに脚を固定され開帳された陰唇に渡された一本の縄は、まさに二人の秘密だ。

ぼくは息を荒らげながら、左手をペニスに伸ばした。

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