俺の上で乱れ咲き誇れ薔薇よ (Page 5)
カチャ…ゴトリ。
俺は、床に滑り落ちかけたベルトを、すかさず掴みソファの上に置いておく。
茉莉子さんは俺の両膝に肘を置く。脚の間のファスナーを開き、俺の下着の上から、俺自身を舐め上げる。
「ハァ…熱い…」
もどかしさを感じながら、俺は彼女に委ねる。豊かな胸に俺自身を挟み、上下に揺らす。悪戯心で、背中の金具を外すと、レースはソファに落ち、乳房は宙に零れおちる。俺は両の手で両の頂を抓り上げる。彼女は左手の拳をグッと握りしめる。俺は腰を浮かし、スーツのパンツから左足を抜く。白い胸が、俺の左腿を這い、俺の下着越しに俺の頂きに乗る。
「いやらしい、ひと…」
「渉くんこそ」
「好きでしょ?いやらしいの」
俺は下着から俺自身を取り出し、茉莉子さんの胸の蕾にあてる。唾液ではない汁で蕾は濡れる。
「渉くん、こそッ…」
パツ…パツッ…。ゴムが弾ける音がし、茉莉子さんの左拳から取り出された避妊具で俺の猛るモノは包まれる。俺はそれを、草叢の蕾に擦りつける。何度も、何度も。刻み付けるように。
「ぁあ、いい、いいの…ん…」
獣じみた美しいひとは、熱に浮かされながら両膝をソファにつき、膝の力をゆっくりと緩める。俺に沈みこんでくる甘い命。その脚の間の厚い花弁にゆっくりと俺自身はさらに包まれていく。茉莉子さんの胸に俺は顔を埋める。俺の頭を包む両腕。甘い問いが降ってくる。
「息ができなくなるかしら?」
「うん。そして、貴女のこの口も、ね」
花弁を、静かにズン、と突き上げる。甘い唇も、豊かな乳房も、蠱惑的な目線も、すべて散らしてしまいたい。
「アッ!あー…あぁあん…」
天井を見上げる茉莉子さんの唇を、唇で荒々しく塞ぎながら、俺は腰を揺らす。白い女の太腿に爪を立てる。俺の肩にも、女の爪が食い込む。貴女が貴女でなくなり、俺が俺でなくなり、溶けあってしまうような錯覚に襲われる。
「や…ぁあ…いやぁ…独りに…ひとりにしないでぇえ…」
欲望に純粋な、貴女を突き上げる。
キィ…。アトリエの扉が軋む音がする。予想通りだ、と静まることのない俺自身に感心する。そして小さな車輪の音が響く。さらに、花弁が俺自身を締め上げ、女の肌が粟立つ。舌と舌を絡めて、獣の睦み合いの果てを、背後の男の両の目に、焼き付けさせる。
…それが、貴女と貴方の望みだから。
「ひとりに…させませんよ」
彼女の胸の頂に、ベルトの革を這わせる。そして両手首を頭上にあげ、ベルトで縛りつける。
「あ…あーっ!渉くん…渉くん…」
どくどくと、俺を注ぎ込む。そして、この先繰り返される”果て〟を思う。何度でも、何度でも。俺の上で乱れ咲き誇れ美しい薔薇よ。
Fin.
文章
文章がとても美しい
その上で歓楽的。
M さん 2020年11月15日