俺の上で乱れ咲き誇れ薔薇よ (Page 3)
茉莉子さんも俺も石附氏という狂気的かつ強烈な個性、鮮烈な渦巻に自ら進んで巻かれたい人間だ。極彩色の石附氏の絵に囲まれて、本来ならばその世界観に溺れてしまいそうなこの場所で、俺は。
頼りなく、俺の指を柔らかく受け止める茉莉子さんに溺れて、そして。
「貴女が柔らかすぎて…おかしくなる。狂ってもいい?」
柔らかい乳房の頂きで硬く主張する芽を、絹越しに弾く。その俺の左手を、さらに茉莉子さんは己に押し当てる。
「切り裂くほどの気持ちで、来て」
「望み通りに」
俺は己のナイフが熱くたぎるのを感じている。けれど、それ以外にも、俺はこの美しいひとを切り裂く術をいくつも持っている。丹念に、丁寧に。
茉莉子さんの額に両の手の五指を這わせ、豊かな髪の根元から後頭部へとゆっくりと指を下ろしていく。首筋に辿り着く。しっかりと支えながら、耳朶を包み、耳に息を吹きかけ、舌をのばし濡らす。
「ぁ、ぁあ…ン…ふぅ…」
小指、薬指、中指、人差し指と、長く細い首にトン、トン、トンと静かに置いていく。そして、鎖骨に右の親指を伝わせながら、左手は彼女の胸を捕らえる。乱されたいという欲望が、目尻に滲むのを眺めて愛おしさが込み上げてくる。首筋へのキスは支配欲求だと、かつて紐解いた書物で読んだ記憶がある。眉唾かもしれないが、俺は支配欲とやらを、たっぷりと纏う。彼女の首筋に静かにキスを落とす。そして、首を優しく絞めながら、彼女のワンピースの胸元のボタンを口で開ける。ひとつ…ふたつ…。谷間を割るように舐め上げる。と、彼女の膝が俺の熱いモノに触れてくる。
「欲しがっている、でしょう」
茉莉子さんに問う己の声の甘さに、我ながら驚きつつ、平静を装う。
「ええ。欲しいわ」
「違いますよ」
本当は、ゆとりなんて一ミリもない俺は白状する。
「俺が茉莉子さんを、です」
再び茉莉子さんの目に、涙が溢れる。
溢れているのは目にだけ?嬉しい悪戯心から、俺は跪いて頭からスカートの中に突入していく。少々乱暴だなと感じる性急さで、小さな下着越しに、舌を這わせる。
クチュ…。
微かな音だが、脚の間の熱い液体を想像させる。
「恥ずかしい…いや…」
「嫌?やめますか?」
大袈裟に驚くフリをして俺は動きを止める。
「…違うの、こんな風になることが」
「どんな風に?確かめたいな。…脱いでください」
にっこりと、俺は彼女にお願いする。
文章
文章がとても美しい
その上で歓楽的。
M さん 2020年11月15日