最近、彼が怪しい。見知らぬ女の人と出かけているのを見てしまい…
最近、付き合っている彼氏がどうも怪しい…。私に内緒で出かけてしまうことも多く、「どこに行っていたの?」と尋ねても「別に」と素っ気ない返事が返ってくる。でも、私は見てしまったんだ。彼が見知らぬ女性と出かけているところを。彼が帰ってきた時、思わず私は泣いてしまって…。
最近、彼氏の廉(れん)君がどうも怪しい。
休みの日になると「友達と出かけてくる」なんて言ってどこかへ行ってしまうし、「どこに行ってきたの?」と尋ねてもうまくはぐらかしてばかりで答えてくれないのだ。
廉君はもともと愛想のない方ではあったけれど、私に大きな隠し事なんてしないタイプだと思っていた。
「羽純(はすみ)、俺ちょっと出かけてくる。夕方には戻るから」
今日だって日曜日なのに、洗濯物を干している私にそう言って、そそくさとアパートを出て行ってしまった。
「あ、うん…。気をつけてね」
私は寂しさを感じつつ、タオルケットを洗濯バサミで挟む。気温が高くて、すぐにでも洗濯物は乾くだろう。
「はぁ、退屈だなぁ」
しばらくはファッション誌を読んで暇を潰していたものの、いつも一緒にいる廉君がいないだけで、虚無感に襲われた。
お昼ご飯にはパスタを茹でようと思ってキッチンに立つと、あると思っていたパスタがなかった。
以前使い切った後、買っておくのを忘れていたのだ。
「しょうがない、買ってくるか」
私はバッグに財布とスマートフォンを入れ、日差しが眩しい街中へと足を踏み入れる。
スーパーマーケットで品物を買って外へ出ると、少し遠くに見慣れた顔があることに気づいた。
「あ、廉君」
それは、間違いなく廉君だった。
誕生日に私がプレゼントした腕時計に視線を落としてから、周囲を見回している。誰かを探しているのだろうか。
声をかけようか迷っているうちに、彼の元に見知らぬ女性が駆け寄っていくのが見えた。
「…え?」
廉君も彼女に微笑みかけると、二人は雑踏の中に姿を消す。
追いかけようとも思ったけれど、日曜日の街中は人が多すぎて、あっという間に二人の姿は見えなくなってしまった。
浮気、していたのだろうか。私にバレていないと思って。
「ただいまー」
夕方、廉君がいつもと同じ様子で帰宅する。私は「おかえり」も言えずに、身を固くした。
「羽純、どうしたんだよ?電気も点けないで」
廉君は壁のスイッチを押して電気を点けると、私の方に向き直る。その瞬間、自分でも驚くほど涙が溢れてきた。
「うっ…ふぅう…」
「え、羽純。どうしたんだよ?」
廉君はびっくりして、私を抱きしめて背中を撫でた。おでこにキスされて、私はまた唇を震わせて泣いた。自分の心が、嫉妬でモヤモヤする。
「廉君…」
「ん?」
「今日、女の人と歩いてた…?」
「……見てたのかよ」
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