“推し”のバンドマンとライブ後にバッタリ!Barで酔いつぶれた私はホテルに連れ込まれて… (Page 3)
「え、何このボーカルの人…」
やや小柄で、ぱっちりとした大きな目をした青年。
長い前髪から覗くその視線は、時に怒りを訴え、時に哀しみをたたえ、そして時に甘えたように潤む。
その目にやられてしまった。
正直、歌がすごく上手いわけではない。
けれど、ヨウのライブ中の表情の一つ一つが、歌に彩りを添えていた。
それからというもの、ヨウ達のバンドがこの街でライブをする時には必ず足を運んでいる。
「時々、ヨウと目が合ってる気がするんだよな…なんて!私ったら…痛いファンみたい」
これだけ何度もライブに来ていて、いつも最後列で観ているファンだ。
ヨウに認知されていてもおかしくない…なんて思ってしまう時もある。
けれど、そんなの自意識過剰に決まってる!
そう思うようにしていた。
*****
「もうすぐ終電だな…」
そろそろ帰らないと。
席を立とうとした、その時だった。
「ごめん!機材片付けてたら遅くなっちまった」
聞き慣れた声。
思わず振り向く。
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