好きになってしまいそうなセフレの年下くんにもう会わないと決めたんだけど… (Page 2)
土曜出勤の日。
大型連休の中日ということもあって、オフィス街は閑散としている。
「愛奈」
ふいにビル街に並ぶ街路樹の辺りから聞き覚えのある声で呼び止められた。
「…リク?」
そこには車から降りてくるリクの姿があった。
いつものカジュアルなスタイルではなく、スラックスにシャツ、ジャケットを羽織っている。
「久しぶり、やっと会えた」
「リク…車運転してきたの?」
「ああ、今日良ければ愛奈と食事したいなと思って…迷惑かな?」
「ううん、夕方には終わるの。待ってて」
気が付いたらぶんぶんと首を振っていた。
素直にリクに会えたことが嬉しかったせいで「セフレ解消」のことは頭になく、つまり、油断した。
今日のリクはいつもと違っていた。
いつまでも学生あがりのような雰囲気はどこかへ消えて、大人な雰囲気と落ち着いたしぐさに私の心臓は早鐘を打った。
思えば、私は昼間の彼のことなんか何も知らない。
それにしても、あんなに悩んだのにもかかわらず、あっさり食事の約束をするなんてどうかしている。
距離を取るって決めたのはどうなったの?
私たちって一緒に食事をするような仲じゃないのに。
心の中で葛藤しつつも、足取りは軽く仕事は順調に片付いた。
「近くのカフェでまってる」
帰り支度を済ませ、指定のカフェへ向かった。
*****
「僕の家で飲みなおさない?」
食事を済ませ、何気ない会話をしているとふいにリクが言った。
食事のワインの心地よい酔いに任せて、まるで友達の家に行くかのような気軽さでリクの家へついてきてしまった。
リクがシャワーを浴びるといって出て行ったリビングのふかふかのソファーの上で、私は冷静になり青ざめていた。
わたしったら、なんでついてきちゃったの?
今から帰る、なんていったら、またリクを傷つける?
リクはどういうつもりで…やっぱりセフレ復活ってこと?
思考が走り出して止まらない。
でも…
距離を置いたのはリクを恋愛対象として見ないための期間だったんだし、まだセフレを解消したわけではない。
このままSEXすることになっても何も問題なくない?
言い訳まで考え始めたころ急な眠気が襲ってきた。
…ソファの肌触りはふかふかで最高だし、なんだか眠い…
疲れた体に食事とアルコール、眠くなるのには充分だった。
レビューを書く