恥辱 (Page 4)

――女を支配したい欲求が強い元カレを見るのは嫌いじゃない。
だって、普通の関係なんてもう私達には存在しないのだから。

目の前で元カノが知り合いに抱かれることに興奮を覚えるのなら、それに応えるのが今の私の務めだと思う。

コートをはぎ取られると、さすがに夜の寒さで凍えそうになる。
だけど、その刺激もあいまって私は完全に挿入する準備が整ってしまっていた。

愛撫をされるのは嫌いじゃないけれど、私が欲しいのは身体への刺激ではない。
感情がコントロールできなくなるぐらいの、嫉妬心や恐怖心だと理解している。

男の愛撫していた指が、下着の中に侵入してきた時点で、男はすかさずにベルトをガチャガチャと音を立てて外し始めていた。

男というのは、挿入するために愛撫をしているのだ。
女の準備が整い次第、男は挿入する準備を始めてしまう。

だけど、そんなことはどうでもいい、だって私はこの男が愛撫をする前から準備はできているのだ。
雰囲気に呑まれていくのがとてつもない快感に繋がっているのだから、普通のセックスの準備など意味をなさない。

でも、元カレの視線が一番の快感なのだとしたら、私は完全に変態の仲間入りをしてしまっているのだと思う。

「おいっ、車に乗れ」

そう言われて、ベルトを外し終った男が固まっていた。
元カレに言われるがままベルトを装着し直していた。

そして、助手席に戻ると私はボンネットから手を放して、両手を頭の後ろに回した。
無抵抗な状態ですと言わんばかりだが、このまま放置されても私は喜びを感じてしまうだろう。

「お前は後ろに乗れ」

そう言われると私は腕を後ろに回したまま、後部座席に乗り込んだ。
助手席の男は俯いていて、元カレに怯えているようだった。

そんな怯えるような相手ではない。
この男は、普段は普通のサラリーマンだし、今の彼女の紐状態で飼われている憐れな犬だ。
そのストレスを私や男に向けているだけの変態にすぎない。

「申し訳ありません」

そう口にすると、元カレは後ろを振り返って口角をあげる。
私は敬語で話すことを強要されていたので、そのまま続ける。

「私は、奴隷なのにも関わらず最低な行為をしてしまいました」

私は、ここまで徒歩できたのだが、家はすぐそこだ。車に乗らなくとも10分もしないで帰宅はできる。

だが、元カレは私と男を連れてどこに向かう気なのだろうか。
すっかり準備のできた自分の膣が不満げに蜜を垂らしていた。

「すみません、役不足でした」

そういって男はどこかで降りていった。
役者を雇うほど、金銭的には余裕があるのだろうか。
私は男が見えなくなると、後部座席に寝転がった。

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