いつもと違う幼馴染から愛される夜

・作

幼馴染であり恋人でもある彼にヤキモチを妬かせたくて、わざと職場の先輩に気があるような素振りを見せるが、そのせいで彼を怒らせてしまう。普段と違う彼、そしてどれだけ止めてとお願いしても止めて貰えず彼からの愛をわからせられてしまう…。

私、小林芽衣には、幼稚園からの付き合いになる緑川保という幼馴染がいる。中学生のときに告白され、そこからは幼馴染であり恋人になった。

学部は違ったが、大学まで一緒のところを選んできたときには溜息を吐きつつもずっと側に居られることが嬉しかった。

恥ずかしくて可愛くない態度ばかりを取ってしまうので、保には私の本当の気持ちなんて微塵も伝わっていないと思う。

流石に就職先も一緒ということは、難しく22歳にして距離を置くことになると思ったが、保から同棲の申し出があり大学を卒業後は一緒に暮らしている。

*****

今日はチームで飲み会があり、帰りが遅くなった。鍵を開け、玄関からリビングへ向かうと保がソファーでテレビを見ていた。

「おかえり!」
ちらりと顔を見ると満面の笑みである。

「ただいま」

「遅かったね。仕事大変だった?」

保は、私とは正反対の性格をしていて、愛情表現をたくさんしてくれて、いつも愛嬌があり穏やかな性格で、そして可愛い。

幼稚園の頃から変わらず私のことが大好きでそれを伝えてくれる。でもそれは物心がつき始めたとき、隣にいたのが私だっただけで、いつか私よりもっと好きな人ができてしまうのではないかと、私は恐れていた。

「連絡するの忘れたけど、チームの飲み会だった。ごめん」

「…へー。そうだったんだ。チームの飲み会ってことは、前言ってた先輩も居た?」

「飯田先輩?居たけど…。なんで?」

「どうだった?」

「どうもこうも…別にいつも通り。飲み潰れた人を介抱したり、色々動いてくれて、やっぱり仕事面以外でも尊敬できるなって思った…かな…?」

「ふーん」

「聞いてきて、何…?その態度…」

表向きの態度として私は、少し怒っているような雰囲気を出しているが、内心ガッツポーズをしていた。

いつか私以外の人を好きになるかもしれないと不安だった私は、逆にそれを相手にぶつけてみたのだ。私が他の人を好きになるかもしれないと、相手を不安にさせて、離したくないと思わせたい。

そしてあわよくばヤキモチを妬かせたかった。そのために時折先輩の話を保に聞かせていた。当然先輩に対してその気なんてないが、単純に上司として尊敬しているので話に偽りはない。

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