あなたの声が大好きだから (Page 5)

達した後、ベッドに眠るのは心地がいいものだった。火照った身体の熱を冷ますような、冷たいシーツ。レナの身体を労るように、すばるはレナの身体を抱きしめてくれる。とても優しく、腕をさする手もどこか愛しく思えた。

「ありがとう、レナ。こんな俺に付き合ってくれて…」
ぎゅっと肩を抱かれ、レナはどきりとした。今まで熱くセックスしていたはずなのに、肩を抱かれるくらいでもついドキドキしてしまう。

「こっちこそありがとだよ。私なんかを抱いてくれて…」
「逆だよ。俺みたいなのを受け入れてくれて、本当…がっかりさせないか不安になる」
「まだそれ不安なんだね…。ここまでしておいて、嫌ってならないよ…?私を信じてよ」

レナは苦笑する。顔がどうのと思っていたら、抱かれることも難しいだろう。レナはすばるの内面を好きだから、抱かれたいと思ったのだ。

「目隠しをした意味、わかって。私は…すばると同じ気持ちだよ」
「…俺はレナのことが好きだよ。今日、もっと好きになった。だから怖いんだよ。俺の顔を見たら、離れていっちゃわないか」
「大丈夫だから」

レナはいつかのすばるのように、すばるに力強く言った。喪女だとからかわれて落ち込んで泣いている時、すばるはボイスチャットで『大丈夫だよ』と言ってくれたのだ。彼が先程不安を取り除いてくれたように、今レナはすばるのために元気づけてあげたい。

「キスして」

レナが言えば、すばるはすぐにキスをしてくれた。柔らかい弾力の唇が、自分の唇に押し付けられる。先程かわした濃密なキスと違う。彼が唇を深く押し付けてくれた時、レナは自分の頭に手を伸ばし、そっと目隠しを取った。

視界が開ける。暗くなった部屋に、サイドテーブルに光る僅かな照明。薄暗い部屋の中で頼りな照明が、彼の顔をほんの僅かに照らしている。

ああ、ようやくだった。ようやく、レナは彼と会うことができた。

「あなたの顔、ようやく見れた…」

Fin.

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