あなたの声が大好きだから
レナはマッチングアプリ内で結婚した彼と、初めて会うことになった。アバターでしか接したことがない彼は顔にコンプレックスがある。職場で喪女だとからかわれ落ち込むレナは、顔を見たことがない彼と目隠しで甘いセックスをする。目隠しをされているからこそ、彼の低く素敵な声に翻弄されていく。
「レナ、いいかな」
ボイスチャットで出会った人が、後ろにいる。彼の声を聞いた瞬間、どきりとしてしまう。低く囁くような声は、さんざんヘッドホン越しに聞いたはずなのに、何故胸が高鳴るのだろう。肉声で聞いたのが初めてだからか、これから行う行為への期待からかもしれない。
「すばる…だよ…ね?…いいの」
そのために、今日は来たんだ。レイナ…いや、アプリ名「レナ」は、声がした方向に顔を向ける。目は、目隠しで塞がれている。それなのに声がした方向へつい顔を向けてしまうのだ。
「私の初めてを奪ってほしいの」
言葉を紡いだ瞬間、レナの口は塞がれた。アプリ名「すばる」からキスをされているなんて、まるで嘘のようだ。彼の実在を数ヶ月疑っていたが、今レナは彼からキスされていることを実感する。
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