拝啓 愛しの痴漢様 (Page 2)

「ぁっ…!」

思わず上がった声を、慌てて手を当てて塞ぐ。

下着のクロッチ部分に熱を感じる。ううん。熱だけじゃなく、感触も。

背中から覆い被さられた。そうしてから、クロッチに押し当てられた熱くて硬いものがゆっくりと動かされ始める。

「…っ! …ん、…ん、ぅ…!!」

それを…ペニスを動かされるたび、塞いだ口の端から小さく漏れ出る声を必死に押し殺す。

くち、くち。

そんな水音が耳に届き、その音に頭の芯が侵されていく。めまいがする。心音がうるさい。

秘所も。耳も。頭も。

──心までも。

全部、犯されていく。葛西さん。…あなたに。

ああ、でも。私も望んでいた。一年前、初めてあなたに触れられてから。

それからずっと一日に。月に一度だけ、続けられている行為。時間も同じ。車両も同じ。立つ場所、ロングスカート姿も。

全部あなたのため。だから、確認なんてしなくていいのに。

水音が強くなる。葛西さんから出てるカウパーで、ショーツはぐしょぐしょになってる。

違う。出てるのは葛西さんからだけじゃない。膣口からもとろとろと、熱い愛液が溢れ出てくるのがわかる。

ショーツ越しの抽送が、二人分の体液が足元で小さな水たまりを作る。

…これでも、誰にも気づかれてないの? …本当に?

そんな考えはすぐ、どこかにいっていまう。動かれるともうほとんど意味をなしていないショーツがずれ、大事な部分があらわになる。

そこを直接、濡れたペニスでこすり上げられ、口に当てていた手を放してしまった。

「は…っ、…ぁ、ぁっ…!」

両手で壁を支えに立っているのがやっとで、口を塞ぐ余裕がない。

「…っ…!!」

後ろから伸びてきた手に、口を塞がれた。見慣れた時計の、葛西さんの左手。

その人差し指を口に咥え込んで、軽く噛む。声が治まると、さっきより激しく律動が繰り出される。

そのうち前後のストロークだけでなく、ペニスそのものがびくびくと脈打ち始めた。

あ。もう、出そうなんだ。

熱に浮かされたような頭で、ぼんやりとそれだけは理解した。

動く。動く。葛西さんが動いて、…そして。

びゅく、びゅく、びゅっ…く…!!

火傷しそうなほど熱いものを感じて、目の前が白くなる。思わず口の中の指に歯を立てた。

精液が振りまかれたのは、ショーツに覆われているおしりのほっぺた部分。

お気に入りのそれはシルク製で、そのすべすべした表面を精液が滑り落ち、ぽとぽと床に零れ落ちていく。

口を開け、噛みしめていた指を放す。左手が後ろに戻されるとき、その指先に血が滲んでいたのを視界の端にとらえた。

…痕が残ればいいのに。

両手で体を支え、息を整えながらそう思う。

ずっと残って、困ればいいのに。

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