「あの子は彼のもの」私の好きな人は、もうすぐ結婚してしまう子に恋している。お祝いパーティーで酔った後、私は彼の手を引いてラブホテルへと向かい…

・作

私の親友が、長年の片想いの末に結ばれた先輩とゴールインすることになった。当時の仲間たちでお祝いの飲み会を開いたけれど、本当に幸せそうだった。実は、私が高校時代に好きだった彼は、親友のことが好きだった。「あの子はもう、別な彼のものだよ。だから、私だけのものになってよ」そんな言葉を飲み込み、私は酔った彼をラブホテルに誘って…

「風香(ふうか)ちゃん、景都(けいと)先輩、結婚おめでとうございまーす!」

祝福の声と同時に、皆の冷えたビールジョッキが一斉に重なる。

キィンと弾けるような音とともに、皆が勢いよくビールを飲み干した。

「ああ、美味しいね!」

ビールの苦味が美味しく感じられたら、それはもう大人の証だろうか。

高校時代に知り合った私たちは、いつの間にか二十代後半になっていた。

「それにしても、まさか二人が結婚するなんて思ってもみなかったよ」

景都先輩の親友が、すでに赤らんだ顔で微笑む。

私たちは高校時代に同じ部活に所属しており、景都先輩はその中でもダントツで華のあるタイプの人だった。

とても綺麗な他校生の女子と付き合っているという噂があり、私の親友である風香は、ずっと想いも伝えずに片思いをしていた。

そのまま数年が経ち、景都先輩が留学先から戻ってきた時に勇気を振り絞って告白し、結ばれたのだ。

ずっとそばで応援してきた私も嬉しく、こうして結婚のお祝いをするに至っている。

「風香ちゃんも結婚するし、次は美波(みなみ)ちゃんの番かなぁ」

突然自分の名前を呼ばれ、私は驚いて顔を上げる。

「いやぁ、今はまだ仕事が楽しいし。それに、彼氏だってずっといないし」

やんわりと告げると、酔った誰かが「土浦(つちうら)が余ってるぞー」と叫んだ。

土浦くんは露骨に怪訝な表情をすると、「先輩たち、飲み過ぎです」と釘を刺した。

 

…私は気づいていた。

土浦くんが、さっきからほろ酔いの風香ばかりに視線を向けていることに。

そして、そのことに景都先輩も気づいていることに。

 

風香が景都先輩を想っているように、土浦くんも風香を想っていた。

風香は少し鈍感なところがあって、自分に好意を寄せている異性にはまるで気づいていなかった。

そのことが、土浦くんに恋している私を、少しでも安心させていたことも事実だった。

「ふふふ」

お酒に弱い風香が、景都先輩の腕に身体を寄せて、猫のようにスリスリする。

左手の薬指には、真新しい指輪が光っていた。

「風香、酔っちゃったのかな。そろそろ帰ろうか?」

景都先輩が優しく風香の頭を撫でると、徐々に場もお開きのムードが高まった。

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感想・レビュー

2件のレビュー

「あの子は彼のもの」私の好きな人は、もうすぐ結婚してしまう子に恋している。お祝いパーティーで酔った後、私は彼の手を引いてラブホテルへと向かい…のレビュー一覧

  • う~ん・・残念。
    作者さんの作りたかったストーリーとかキャラの感情とか・・
    頭の中に色々思い浮かぶんだけど。
    残念なのは文章が「た。」「だ。」で切られてる所が多いと感じますよ。
    完了形&過去形の文章は読み手が理解できなくなります。
    そこだけ直すと切なく哀愁の有る良い小説と思います。
    こんな事書いてごめんなさい。

    匿名 さん 2020年5月9日

  • せつな

    匿名 さん 2020年5月9日

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