裏アカ男子と処女喪失
三十路前に処女を捨てたいと思い悩んでいたリカコは、SNSで『裏アカ男子』なるものを知る。そこで出会ったゆうたろうに数々の初めてを捧げ、味わったことのない快楽の渦に飲まれていく…。
「あのっ、リカコさんですか?」
私が振り返るとそこには20代半ば、といった風貌の男性が立っていた。
「はい。ゆうたろうさんですよね」
お互いに、はじめましてー、よろしくー、なんてぎこちなく言葉を交わしながらネオン街へと歩みを進める―――。
私は彼氏いない歴=年齢の29歳、もちろん処女だ。今年で遂に三十路へ突入してしまう。
なんとか20代のうちに処女は捨ててしまいたい、だって、処女なんて言ったら余計に恋人なんてできないんだもん…。
あるとき、SNSの中で『裏アカ男子』『裏アカ女子』という存在がいるのを知った。
興味深く探ってみると、体の関係を求める、いわば出会い系のようなものだった。
人によってはアレがしたい、コレはしません等の約束事が提示してあったりと、さまざまであるようだ。
その中でも気になる人が1人いた。それが、今日会ったゆうたろうだ。
彼は自分の快楽のためではなく、『女性に気持ちよくなってほしい』というポリシーを掲げていた。
SNSにあげられた動画を見ても、AVのような乱暴な行為はなく、女の子が気持ちよくよがっている場面ばかりだった。
勇気を振り絞って連絡を取り、やっと今日初対面を果たした訳だ。
緊張する私とは裏腹に、ゆうたろうは気さくに話しかけてくれる。
気付いたら手まで繋いでいるし。
そのまま歩みを進めてホテルへと向かった。
わー、ラブホテルってこんな感じなんだ…。
この中から好きなのを選ぶのかぁ…。
興味津々でキョロキョロする私。
「リカコさん、どんな部屋がいい?」
「えっ、あっ、どっ、どこでもいいです」
めちゃくちゃ噛んでしまった…。
「ダメだよ、リカコさんの初めてなんだから。リカコさんの気に入る部屋にしよう」
あぁ、この人は根っからの優しい人なんだなぁ、なんてしみじみしながら、
「じゃ、じゃあ、このモダンな部屋で…」
――――――
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