男友達に教わるホントの快感

・作

彼氏とのセックスで全く感じず、むしろ苦痛に感じ始めた時「不感症じゃないの?」との暴言で傷ついた花音(かのん)。仕事にのめり込むことで忘れようとしていると、同期で男友達の葛城が「じゃあ、試してみる?」と提案してきて…

やっと終わった。彼氏との事後、ぐったりと目を閉じる。濡れないどころか渇く一方で、実はこっそりローションを仕込んでることに彼は気が付いてるだろうか。付き合ったころからセックスは苦手で、最近は苦痛にすらなってきている。

「花音さぁ、演技してない?なんかこっちも気分がノらないというか…」

「…そんなことないよ」

「終わった後たまにホッとした顔してるじゃん。いつまでたってもマグロだし。不感症じゃないの?」

まあ確かに、終わるたびにホッとしてたしマグロだったのも否定しないけど、最後のは暴言だろう。でも、気持ちよく思えないのはそうなのかもしれない。でも、言い方があんまりだ。

「じゃあ、もう、別れようよ。飽きたってことでしょ?私達別れよう」

「はあ、まあ、いいけど」

そんなほとんど喧嘩別れみたいな感じで三ヶ月付き合った彼氏と別れた。今思うとよく三ヶ月も続いたと思う。

*****

「主任、こっち終わったんで他に仕事ありますか?なかったら、葛城と三山商事行こうと思うんですけど」

「ああ、あそこの課長読書が趣味だし。話し合う方が仕事の話もしやすいだろう」

主任の勧めもあり、社内メールで今日の三山商事に一緒に行くことを葛城に伝えると、玄関でまっててと返信があった。そろそろ来ると思うんだけど。手持ち無沙汰に時計の秒針を見ていると

「あ、いたいた。待ったか?」

「言うほどは待ってない」

そこは待ってないって言えよと笑いながら、歩き出す。葛城とは同期入社で新人研修で仲良くなって、友達何人かと飲みに行ったり、ご飯食べに行ったり割と仲のいい男友達。ある意味彼氏より気安い存在だ。

今回二人で行った三山商事の課長の読書趣味は有名で、実際話が合って仕事の話もスムーズに出来た。今度また是非話に来てほしいとまで言われてしまった。

「めっちゃ気に入られてたじゃん。俺は本の話とか分からないしなー」

「葛城はマンガしか読まないから」

時計を見る。帰ったら五時ちょっとすぎになるかな。

「じゃ、会社戻ろうか」

「いや、さっき確認したら直帰でいいって。今帰ったら定時過ぎるし」

「今日って木曜日か」

労働基準法だとかなんだとかで、最近有給の申請もノー残業デーが徹底されるようになった。毎週木曜はノー残業デーだ。

「ちょうどいいや、飲みに行こうぜ。一回さし飲みしたかったんだ」

「いいけど…」

「よっしゃ決まり!」

夕闇が迫る中、駅から反対に向かって歩き始めた。

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