イクって何なの?
恋人との性行為でイッた経験がない愛衣。愛する恋人をガッカリさせたくないため、恋人になった美月には先にその経験を伝えた。すると美月のプライドは燃え、愛衣はじっくりとした恋人の愛撫に悶えることになる。イクことが何なのか知らないあなたに送る甘々セックス物語。
「あたしね、今まで一度もイッたことがないんですよ」
「…それは、今言わなきゃいけないことなの?」
飯田愛衣は、仰向けの体勢で言った。目の前には、愛衣の恋人である谷川美月の顔がある。冷たい美人と社内でも名を馳せる美月は、にこりともせずに愛衣の顔を見下ろしていた。
愛衣は、美月に押し倒されていた。革のソファは体温を奪うように冷たい。2人が一緒に見ていた映画は、もはやBGMとなってしまっていた。
(美月さんのおうちで、映画観てだらだらして、ちょっとキスが始まって、押し倒された)
仕事の大先輩であり同じ女性として働く美月。彼女と付き合っているという状況も夢のようではあるが、この状況も愛衣にとっては非現実的だ。
「だって、美月さん。私は美月さんに告白して付き合ってもらった身ですよ?」
「それと、イクことの関連性が私にはわからないわ」
美月はとても冷たい言い方だった。にこりとも笑わないのも、冷たく突き放すような言い方をするのも、美月の癖だ。最初は愛衣も嫌われているのではないかと不安に思ったこともあったが、杞憂であったことを知ったのは半年前に付き合い始めたからだ。
「今までは、男と付き合ってきました。セックスでイかないから、イク演技をして関係を円満にしてきたんです」
「それは何?これから私の前で演技をするっていう宣言なのかしら?」
「違います!美月さんには嘘つきたくないんです!だから演技なんかしませんが…イかなくてもあたしの問題なんですよって言いたくて…」
ぐっと愛衣は唇を噛み締め、美月の目を見上げる。
「美月さんに嘘つくの、嫌なんですよ…」
愛衣にとって美月は愛しい恋人だ。大好きな人で、いつだって誠実でいたい人。
「随分と、可愛いことを言ってくれるのね」
「可愛いというか…不感症だと思うんです。本当がっかりするかと…」
「そういう風に言われると、逆に燃えるじゃない」
え、と愛衣は驚きを口にした。見上げる美月の薄い唇はきれいに歪んでいた。
氷のような色香を湛える口元を、愛衣は呆けたように見入ってしまった。
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手に取る様に判ります
相手を満足させてこそ
行けるのだと思いまし
男よりも女性同士の方がポイントも判るし良いのかも
なんだか私も行きたくなりました
麻里子 さん 2022年4月30日