育ての親から恋人へ、14年間の片想いを実らせて (Page 2)
こんな言い方をしているが、恐らく私の気持ちに忢さんは気付いている。私が中学生くらいまでは、親戚のお兄ちゃんみたいなノリの絡み方だった忢さんに、いつしか程よく距離を置かれるようになった。昔は『業界のパーティー』や『お偉いさん主催の懇親会』とやらで、私を連れ歩いていたというのに。最近は忢さんだけが当たり前のように参加して、私に声が掛かることはなくなった。
「なんで…って。わかってる、くせに」
気付けば、本音が口をついて出ていた。今まで忢さんの方から大人として守っていてくれたラインを、私は容易に踏みにじってしまった。けれども、こうなったらもう後にはひけない。
「駄目だよ、愛美。僕は愛美の保護者なんだ」
「でも本当の親兄弟とかじゃない。それに私はもう20歳を越えてるし、ずっとずっと考えてきて…釣り合わないのは分かってる。だけど、好きなものは好きなんだよ!」
自分でも驚くほどに言葉を並べたてて、しまいには『相手にしてもらえないなら、彼氏をつくってすぐにでも同棲する』などと、出来もしないことを言いながら泣いていた。これじゃぁまるで、別れたがらない面倒な彼女だ。最悪だ。顔を覆って項垂れる私の肩に、忢さんの温かい手が添えられる。
「愛美、顔をあげて。お願い、僕のことを見て」
「駄目…いま私、酷い顔してる。すごい不細工だから、見ないで」
「…愛美はいつだって可愛いよ」
こんなときに、そんな甘い声はずるい。なのに私は嬉しくなって忢さんの顔を見てしまって、その微笑みにときめいてしまうのだから始末におえない。
「僕、38歳のおじさんだよ? 愛美はまだ若いし、僕から言わせれば世間知らずもいいところだ。それにずっと一緒に過ごしてきて、愛美のことはよく知ってる。だから、愛美が僕から離れられないように、嫌になっても逃げられないように、あの手この手で尽くしちゃうけど、それでも大丈夫?」
忢さんは実にずるい大人だ。けれども私は泣きじゃくりながら大丈夫と答えるしかできなくて、子どものとき以来の忢さんの腕の中で、その温かさに心を奪われていた。
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「なんか、緊張するね…」
「…うん」
育ての親
これも、すごくいいです。オナニーしたくなっちゃった
鈴木 さん 2022年7月20日