幼馴染の彼と“仲良く”するエッチな遊び (Page 3)
後から考えれば、別に東京へ行くのに郁の許可は必要なかった。どっちにしろ、本格的に東京へ行くとするなら大学を卒業してからになる。
しかし、郁に拒絶されたくない一心で、結果的に私は郁のいうことを何でも聞いていた。
週に一回はオナニーしている姿を見せるビデオ通話をし、郁が一人暮らしする部屋に初めて行ったときには、大人のおもちゃなるものを仕込まされた。
でも、どんなに恥ずかしいことでも、郁が離れてしまうことに比べたら全然平気だった。
私は彼女じゃないから、郁に彼女ができてしまったら、きっともう会えなくなってしまう。
なので郁には“由良がいるから彼女なんて必要じゃない”と思ってもらわないと困るのだ。
そして、いうことを全部守って無事に卒業したら、郁のいる東京に行って、ちゃんと告白して――振られたら、そのときはもうきっぱり諦める。
実はずっと、そう心に決めていた。
*****
郁が突然帰ってきたのは、私の中学校の同窓会前夜である。
両親は温泉旅行に出かけており、自宅で留守番しつつゴロゴロしていた私は、インターフォンのテレビモニターを見るなり、ぎょっとした。
東京にいるはずの郁が、まるで近所にある実家からそのまま来た、というような身軽な様子で玄関先に立っているのである。
下げている鞄も小さなボディバッグ一つきりで、帰ってくると聞いていなかった私は部屋を飛び出した。
「郁! 帰ってきてたの!?」
「…帰ってきちゃ、悪い?」
伸びてきた郁の手が、私の耳を優しく揉む。
その手の冷たさで、実家に帰省したついででうちに来たわけではないと気が付いてしまった。うちと郁の家は、真冬でもスープが冷めないような距離間である。
不穏な気配は感じつつも、会えた嬉しさのほうが勝った私は框(かまち)から飛び降りて、郁に勢いよく抱きついた。
「全然! 嬉しい!」
身長差がかなりあるので、私は郁の首っ玉にぶら下がるような形になる。
危なげなく私を抱き留めた郁は、ぎゅうっと私を力強く抱き込み、首筋に顔を埋めた。
「…お前さ、明日の同窓会行くの?」
私を抱き込みながら、郁がぼそっと呟く。縋るような声音とでもいえばいいのか、いつになく気弱な声と台詞に、出迎えたときよりも度肝を抜かれる。
「…まさか、それが気になって帰ってきたとか?」
恐る恐る尋ねてみると、私の首筋に埋められた郁の頭が、こくんと揺れた。
「同窓会になんて行かれたら、誰かにお前を取られるかもしれないって思って…気が付いたらこっち行きの電車に乗ってた」
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