私も知らない私

・作

知らない部屋で目を覚ました玲はソファに寝転がってスマホを見ている剛史を見た。剛史からSNSにDMが届き、数年振りに会った昨夜。誰か分からないほどスーツが似合う大人の男性になっていた。そんな剛史の熱を帯びた視線から逃げるように、玲はスマホを取り画面を見た。「剛史…何?これ」そこには裸の玲が跪いて微笑んでいた。

剛史のYシャツのボタンを一つ一つ焦らすように脱がし、胸の筋肉を指先でなぞる。

「ぁっ…玲…や、止めろよ…」

私は、クスクス笑いながら、甘い息を吐く剛史の反応を楽しんで、耳たぶを噛んだ。 

「あぁ…もう我慢できない」

剛史は私の耳元でそう囁き、乱暴にスカートの裾から手を入れると、パンティを指先に掛けた。

「ぁっ、剛史…ダメ」

「そんなの無理に決まってんだろ」

剛史は低い声でいい、私のニットを捲り上げて背中に手を回すと、ブラジャーのホックを外した。

露わになった私の胸に、剛史はブラジャーの間から顔を埋めた。

乳首の周りを舐め回す剛史の髪をくしゃくしゃにして思わず喘ぐ。

「ぁあぁっ…気持ちいい…ねぇ、剛史の…硬くなってるの…触っていい?」

そんなこといったことないのに…そう思いながら、私は剛史と快感の渦に溺れていった。

*****

眩しい日差しがカーテンから差し込み、玲は目を覚ました。

知らない部屋の天井を見ながら、昨日のことを思い出し、淫靡な出来事が夢なのか考えた。

剛史と居酒屋に行ってから…あれ、昨日の服のまま?え、剛史?…ここどこ?

玲は、こめかみを揉みながら起き上がり、目を細めて部屋を見渡した。

上半身裸の男性が、ソファに寝転がってスマホを眺めている。

『ァぁあッ…あァぁン…気持ちいいぃ』

微かに女性の喘ぎ声が聞こえ、玲は静かに起き上がり愕然とした。

どうしよう私、パンティ履いてない…。

「玲、起きたか?」

剛史はスマホをテーブルに置くと、起き上がってソファの横にあったTシャツを着ながらいった。

玲は、裸の剛史を見て顔を紅くし、床に本や小物がある部屋の中に視線を泳がせ、パンティを探した。

「ほい」

剛史は清涼飲料水のペットボトルを手渡しながら、玲の横に座った。

「ありがとう。昨日のご飯代…」

「いい、いい。それ、飲めよ」

剛史は手をヒラヒラさせて顔を横に振り、玲はペットボトルを開け一口、二口と飲んだ。

「何で、俺がDM送ったか…玲、分かってないだろ?」

熱を帯びて潤んだ目をした剛史の親指が、玲の濡れている唇を拭う。

SNSに学生時代の友人たちとの写真をアップした玲のアカウントに剛史からDMが届き、連絡を取り合った。

昨夜、数年振りにふたりは会い、玲は待ち合わせ場所で剛史を探し回った。

「おい玲!どこ探してんだよ」

「え?!剛史?…全然分かんなかった」

「あー俺、自分の写真載せてないから。玲、変わったな」

目を細めて笑いながら、玲の顔を覗き込むスーツ姿の剛史。

学生時代の頃と変わって大人の男性になっている剛史に頬を紅くし緊張する玲。

ふたりは居酒屋へ行き、玲はハイボールを頼み、剛史は二杯目のビールを飲み、映画の話をした。

「お酒二杯飲んだよね?…それから、覚えてないんだ」

「嘘だろ?ガンガン飲んでたけど…大丈夫か?」

剛史の視線を感じながら、玲は部屋の中を見渡して、パンティを探していた。

「バッグならそこ。スマホ…テーブルにある」

それじゃないんだけどな、玲はそう思いながら立ち上がりスマホを手に取った。

「剛史…何これ?」

スマホのロックを解除すると、裸の玲が跪き、充血し上を向くペニスを握って微笑んでいた。

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