夜の社交場デビュー、その実態は… (Page 2)
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「えっ…」
「おぉ、やってるね~」
古坂さんと私の視線の先には1人掛け用のソファ。と、そこに全裸で縛られている30歳くらいの女性がいた。さらには彼女の周りに数人の男女が集まり、肌を撫でたり乳首を舐めたりしている。
「こういう『遊び』をするお店だよ。びっくりした?」
「…うん」
「紗夜ちゃん、俺との約束は守ってきてくれたのかな?」
古坂さんの言う『約束』とは、先日プレゼントした下着をつけてきてほしいという話のことだろう。セクシーな黒のランジェリー。透け感のあるレース素材で、バストトップとクロッチがリボンで留められているオープンタイプのデザインだ。
「もらったやつ、着てるよ…ちゃんと」
「いい子だね」
「私…脱ぐの?」
「紗夜ちゃんが嫌なら、どうしてもとは言わないよ…でもね」
私はこの『でもね』に含まれる意味を知っている。でもね、俺のお願いを聞いてくれたらもっとお小遣いあげるよ、なのだ。古坂さんと愛人になってからは当然ながら肉体関係があって、軽くとはいえSMプレイみたいなものもしている。古坂さんの『でもね』は私にとって、主従の始まりを告げる合図のようなものだった。
「まぁまずは、周りを見て楽しもう。慣れてきたら紗夜ちゃんも、ね?」
店内では静かにお酒を飲んでいる人もいるし、2人だけでイチャイチャしているカップルもいる。年齢層も幅広く、私の親かそれより歳上と思しき人もいた。私はカウンターで古坂さんと乾杯しながら、遠慮がちに周囲を観察することにした。
「すごい…普通に、えっちしてる…」
「気になるなら傍で見させてもらっておいで。きっと、向こうも喜ぶよ」
「1人じゃ、嫌だよ…古坂さんも来てよ」
間近でというのは気が引けたので、セックスに夢中のカップルをやや遠巻きに眺める。そんな私のお尻を古坂さんの手がやわやわと揉みしだいたかと思えば、そのまま秘部の方まで忍びこんできた。
「紗夜ちゃん、濡れてる」
「だ、だって…」
「あっちの隅でさ、脱いでみようよ」
示されたのは、小さなステージのようなフロアのある部分。仕切りになる衝立(ついたて)が数枚、無造作に置かれているだけ。とはいえ、わずかでも目隠しになるものがある場所がいいなと思い、私はコクリと首を縦に振った。
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