拗らせ剣心君の愛情表現 (Page 2)

それから数日後、俺は桜子を自分のアパートに呼び出した。ある事件が起こったからだ。

「どうしたの剣心、そんなに怒って」

「桜子。伊藤とキスしたって?」

自慢げに俺に話してきたアイツの顔、今思い出してもマジで腹立つ。

俺の言葉に、桜子の大きな瞳が揺れる。その表情で、アイツのいってたことが嘘じゃないってわかった。

「なぁ、俺アイツは辞めとけっていったよな?なのに何で、キスとかしてんの?」

「ち、違うよ!あれは伊藤君が強引に…っ」

「強引に迫られたらキスすんの?あぁそっか、お前Sっぽいのが好きなんだっけ?」

ソファに座っていた桜子に近付き、グッと距離を詰めた。

「ちょ、剣心どうしたの?何かいつもと違う」

「桜子、それファーストキスだったんじゃねぇの?今まで彼氏とか、居たことねぇし」

「え…っ?」

否定しない桜子に、体中の細胞がカッと熱くなる。気付けば俺は彼女を乱暴にソファーに押し付けてキスをしていた。

桜子の顎を指で上に持ち上げ、噛み付くようなキスをする。俺にとっては人生初めてのキスなのに、桜子にとってはそうじゃない。それが嫌で、泣きそうで、俺は身を捩らせる桜子をギュッとキツく抱き締めた。

「嫌だ。お前がアイツと付き合うとか」

「剣心…?」

「いやアイツじゃなくても、他のヤツでも嫌だ。俺以外の男と桜子が…とか考えたらマジ、頭沸きそうになる」

「…」

「俺、お前のこと好きみてぇ」

みてぇってなんだよ、大好きなのに。でも恥ずかしくて死にそうで、そんな情けないいい方で精いっぱいだった。

「みたいって…ふふっ、剣心らしい」

桜子は目に涙を溜めながらそういって、顔をクシャクシャにして笑う。その顔がマジで可愛くて、俺まで泣きそうになった。

「なぁ、付き合えよ。俺と」

「えぇっ、剣心と?」

「…嫌、なのかよ」

「嘘。私も剣心のこと、好きみたい」

「みたいってなんだよ」

「あはは、お返し」

悪戯っぽく笑う桜子が堪らなく可愛くて、俺はまた桜子にキスをする。目を瞑ってぷるぷる震えてる桜子が愛しすぎて、もう一生唇離したくねぇって本気で思った。

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