隠された存在 (Page 4)

それでも慶介さんとは違う。

慶介さんは慶介さんだけ。

顔が似ていても別人だ。

「わ、私帰ります!」

鞄を手に取り、立ち上がろうとした私を康介さんは腕を掴んで止める。

「帰さないよ」

その声色はさっきとは違い、恐怖を感じさせた。

そして康介さんは私の腕を引っ張り、ソファへ押し倒す。

「実はさ、慶介の大切な物を奪うのが俺の楽しみなんだよ。昔からよく奪っては楽しんでたんだけど、大きくなって俺から逃げるようになってさ。でもまたこうして慶介の大切な物に出会えるなんて嬉しいよ」

彼を纏(まと)う雰囲気は、さっきまでのような物腰柔らかい感じではなくなっていた。

どうして慶介さんが彼の存在を隠していたのか、その理由がやっと今分かった気がする。

康介さんは自分の唇で私の口を塞ぎ、服の中へ手を入れてくる。

彼の手は恐ろしく冷たい…。

その冷たさのせいなのか、恐怖のせいなのか分からないが、触れられた私の体は固まってしまい。

「んんっー!や、やだっ!やめ…て…!」

「あいつと同じ顔の俺に襲われるってどんな感じ?初めてなのに、久しぶりに感じる?」

「全然違います…!」

口ではそう言ったが、まるで慶介さんがそこに居るようでそこまで拒絶できない自分が居た…。

「弟を亡くして辛い俺と、最愛の旦那を亡くして辛い君。1回くらい慰め合ったってバチ当たらないよ」

彼の冷たい指が、私の乳首へ当たる。

嫌なはずなのに、もっと触ってほしいと言わんばかりに私の乳首はツンと尖り、口からは甘い声が漏れてしまう…。

「んっ…」

「全然嫌そうじゃないじゃん」

私の反応を楽しむかのように彼は乳首の上で指を行き来させる。

焦らすかのようなその動きに、悔しくも私は感じてしまう。

「あっ…やぁ…それやだ…」

「全然反応は嫌そうじゃないのにね。あいつはどんな風にこの胸に触れたの?」

「し、知らない…」

「ふーん。こんな感じ?」

彼は乳首をキュッと摘み、何度もぐりぐりと動かす。

「あっ!やぁ、んん…!」

「それともこう?」

「あぁ…!」

さらに彼は私の乳首を甘噛みしてくる…。

いつも優しく、丁寧に触れてくれた慶介さん。

そんな慶介さんとは対称的だ。

しかし、慶介さんの時には感じたことがない快感が私を襲ってくる…。

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