ほんとうの、居場所って

・作

主婦の貴美子は夫に三度目の浮気をされた。貴美子は幼なじみでありかつての恋人でもあった紀香に泣きつく。いつものこととあきれながら紀香は貴美子を抱く。身を任せる貴美子。紀香の愛撫は貴美子を陶酔させる。淫靡な営みの後、貴美子が告げた決意は―――。

また紀香に頼ってしまった。

*****

紀香の部屋で鼻をすすりながらぬるくなったビールの入ったグラスを持て余す。

私は改めて親友への申し訳なさと自分のふがいなさに涙が出てくる。

「まだ泣くの?あのクソ男のために。全くよく泣けるよね。貴美子は」

紀香は煙草を口にくわえると火をつける。

「おめでとう。三度目の浮気発覚」

そう言ってけだるげに紀香が拍手する。

私はふふっと笑いながらまた泣いた。

*****

ほんとうにろくでもない夫だ。

三度目の今日にいたっては現場を思い切り押さえてしまった。

体調を崩してパートから早上がりして帰宅したらベッドに仲良く知らない女と旦那。

もうコントだ。

*****

紀香は煙草をおいしそうに吸うと、吸殻を灰皿に落とした。

ローテーブルにはビールのロング缶が並んでいる。

そのほとんどが紀香が空けたものだ。

「ヒトの不幸はおいしいでしょ。紀香」

私はわざといじわるを言う。

「すごくおいしい」

紀香は私のグラスを奪うと中の苦い液体を一気に飲み干した。

「おばかさん」

紀香はグラスをテーブルに置くと私の方へいざり寄ってきた。

慣れた手つきで私のあごをしゃくると私の唇を吸う。

その手は私のブラウス越しの胸に伸びてくる。

細やかな手でやわやわと胸の輪郭をなぞられるとあっという間に体が火照ってくる。

「ん、んん」

上あごを舌でなぞられる。

ビールの匂いのする苦い唾液が口の中にあふれる。

「んん」
体からがくっと力が抜けそうになる。

「…もうっ!」私は紀香を軽く突き飛ばした。

「何も考えられなくなるじゃない」

「何よ今更。貴美子がつらい時私の所に来て結局どうなるかっていうといつもこうじゃん。ささ。もう考えるな。えっちいことしようぜ。おさななじみの貴美ちゃん」

紀香はTシャツを勢いよく脱ぎブラを外した。

形の良いおっぱいがぷるんと揺れ現れた。

私は思わず凝視する。

「ほらほら見惚れてないで。貴美子も脱ぐの」

紀香は濡れた唇で笑う。

紀香の愛撫を思い出してもう私の股の間は濡れ始めている。

恥ずかしい。

けれど、このために紀香のところに来たのはまぎれもない事実。

「考えるの、やめる」

私は紀香にキスを返した。

*****

裸になってベッドに横たわる。

紀香が私の上にのしかかる。

「ん…」

手をつなぎながらキスをする。

最初はライトに。だんだんと深く。

紀香の舌が私の口の中に入ってくる。

それは緩やかに出し入れするような動きを始める。

口でのセックス。

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