開けられた5つ目のドア (Page 2)
激しいふたりの淫靡な声と肉を打つ音は事務室まで聞こえ、伊織は身体を震わせて床を潮で濡らした。
(…気持ち良かったぁ…)
疲労感に包まれながら、濡れたパンティを引き上げ、脱ぎ捨てたストッキングを探して、ゆっくり履いた。
(今までで一番気持ち良かった…でも…寂しいな)
伊織は、濡らした床を掃除したあと、身体を丸めて座って、診療室のふたりの声に耳を立てた。
「三浦さん、こっち…」
「え?でも…」
バタンっ。
ドアが閉まる大きな音が診療室の向こうで聞こえたあと、シンと静かになった。
伊織は力なくガラスに近付くと、診療室は真っ暗になっていた。
急いで髪を束ね直すと、診療室のドアを開け足早に通り過ぎ、ロッカーがあるドアをゆっくり開けた。
(誰も…いない。やっと帰れる)
伊織は着替えようとロッカーの扉に手を伸ばした。
「うるさかったでしょう?」
同じく歯科医師の北山の双子の兄、雅彦が、伊織の腕を握って微笑んでいた。
「お疲れ様です…」
伊織は、うつむいてポケットからイヤホンを出して謝った。
「仕事中に、すいません」
「何か…聞いてない?」
雅彦は握っている伊織の腕に力を込めた。
「え、はい…」
(あ…私、顔が紅くなってきてる)
「笹田さん、腕濡れてるけど?」
驚いている伊織の腕を、雅彦は乱暴に引っ張った。
「ちょっといい?」
伊織に微笑みかけて、廊下の先にある北山家のドアを開けた。
「いや、あの…」
雅彦はドアを開けると、長い廊下の横のドアを開けて、リビングの大きなソファに伊織を座らせた。
「お腹空いたよね?」
雅彦の言葉に伊織は振り返ると、広いキッチンで何かをしていた。
「先生、私やります」
伊織は立ち上がりキッチンに向かうと、うつむいてスイーツを皿に並べていた雅彦が笑っていた。
「笹田さんって、意外に大胆なんだね」
「え?」
イチゴを口に入れた雅彦は、隣に来た伊織の唇を奪い、半分ほど嚙み砕いたイチゴを伊織の口の中に滑らせた。
ゴクン…。
口の中に雅彦の舌先が入り、舌を絡ませ、イチゴが喉を通っていくと、ふたりは激しくキスをした。
雅彦はスカートの中に手を入れて、ストッキングと濡れたパンティを脱がした。
「先生、ダメです」
「職場であんなことしちゃダメでしょう…後ろ…見て」
甘い息を吐きながら雅彦はリモコンを取ると、片手を伊織の太ももの間に滑り込ませた。
「!」
「拓巳と三浦さんも知ってるよ…映ってる笹田さん…」
大きなモニターに分割された画面が映り、診療室の三浦と弟の北山拓巳のセックスと、事務室でオナニーをしている伊織が映っていた。
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