デート帰りの甘い誘惑

・作

アヤミは社会人一年目。恋人はいない。同じく恋人のいない大学時代の男友達、セイヤと毎週のように遊んでいた。そんなある日の帰り道。車内でセイヤに告白される。セイヤの気持ちを知り、自分もセイヤに対して恋心を抱いていることに気づいたアヤミは告白を快諾。そのまま彼をラブホテルに誘う。

私、水田アヤミは社会人一年目。

地元の中小企業で営業事務をしている。

土日休みで友達と予定が合わせやすくなったと思ったのに、周りは同棲していたり、結婚していてなかなか遊ぶタイミングがない。

それもあって最近は大学からの友達、北川セイヤと毎週のように遊んでいた。

顔もカッコいいし、背も高い。

一緒にいると楽しいし、大学でも結構モテていた。

でも、話を聞く限り彼女が出来たことがないみたい。

彼曰く、理想が高いからなかなか進展しないとのこと。

私も、かれこれ3年は彼氏がいない。

お互い周囲への羨ましさと焦りから会うと話題はもっぱら恋ばなになっていた。

*****

いつものように遊んだ帰り道。

セイヤの車で自宅まで送ってもらっていた。

「夜ご飯美味しかったね!」

「おう!初めて行ったけどあの店めっちゃ良かったな!また食べに行こう!」

他愛もない会話。

いつものように、昼頃迎えに来てもらって。

いつものように、遅めのランチして。

いつものように、買い物したり、映画観て。

いつものように、夜ご飯を食べながら恋ばなして。

いつものように、家まで送り届けてくれる。

これって立派なデートの内容だよね。

セイヤはそれをほぼ毎週付き合ってくれている。

まぁ、お互い恋人いなくて暇だからかもだけど。

私のわがままに付き合ってくれて、優しいな。

セイヤみたいな彼氏がいたら……。

「はぁあ。本当、彼氏が欲しい…!」

私の心の声はしっかり言葉として発せられていた。

「…」
セイヤは何も言わなかった。

いつもなら笑って返してくれるのに。

「?セイヤどうしたの?」

なんとなく気になって運転している彼を見た。

セイヤは真剣な顔で運転している。

「セイヤ?」

「…うん?」

「どうしたの?なんか元気なくない?疲れちゃった?」

私が聞いてもちゃんとした返事は返ってこなかった。

「ごめん、私、なんか嫌なこと言っちゃった?」

不安になって聞いてみた。

「いや、そうじゃないよ」

そう言ってくれたけど、明らかにいつものセイヤじゃない。

不安で私はどうすれば良いか分からず俯いてしまった。

信号が赤になる。

エンジンが停止し、車内はしんっと静まり返った。

「あの…さ、アヤミ。」

セイヤの静かな声が響く。

「な、何?」

「アヤミは彼氏が欲しいんだよな?」

「え、うん…そうだよ?」

「それって俺じゃダメ?」

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