10億から始まる関係性

・作

大きなお屋敷に住む宮之原財閥の一人息子・宮之原爽太は親の都合で無理やり結婚させられることになり、それを回避するためにお手伝いとして雇われている新城夏那と半ば強引に関係を持ち結婚すると言い出した。しかし夏那は「関係を持ち結婚するなら10億下さい」と言い出した。戸惑う爽太に「10億くれないならお断りします」と言って強気に出たが、すぐさま笑顔になった爽太は「いいよ10億払うよ」と小切手を渡した。そして関係を迫った爽太だが…。

「お前、この人と結婚しろ。これは命令だからな」

 威厳のある声で言ったのは宮之原源三。
 
 宮之原財閥の党首であり世界に名の通る不動産業を経営する不動産王である。

「命令? なんで命令で結婚決められるわけ? 」

 かったるそうに言い返したのは息子の宮之原爽太。

 現在大手不動産にて修行中だが、そろそろ結婚してほしいと願っている源三だがどんな縁談を持ってきても爽太は断り続け相手に会う事すらしないままで現在28歳になった。

 他に好きな人がいるわけでもない爽太に、源三は強行突破に走り今回は絶対結婚しろと言ってきたのだ。

*****

 宮之原家の広い庭に出てきた爽太。
 
「ふざけんな! 」

 怒りを露わに地面をけり上げた爽太。

「俺の人生勝手に決めるな! なんで結婚しなきゃいけないんだよ! 」

 源三が爽太に持ち掛けてきたお見合い相手は爽太より7歳年上の35歳の女性で取引先の社長の娘らしい。

 写真も見せられたが爽太の好みではなく、会う事すら無理だと断ったが源三は決定事項だと言って話を進め始めたのだ。

*****

 ブツブツと文句を言いながら歩いてきた爽太。

 すると花壇の手入れをしているお手伝いが一人いた。

 かがんで花壇を手入れしている姿を見ていると爽太は息を呑んだ。

 綺麗な桃尻にキュッとしまったウェスト、そしてまるでメロンのように大きくて柔らかそうな胸は見ているだけで吸い付きたくなる。

 お手伝い用に白いブラウスに黒いタイトスカートを用意されているが、その姿がまたそそられる。足も細くて長く指も長く顔立ちも純日本風で色っぽい。

 長い髪が肩を越え綺麗にまとめている首筋がまた色っぽく舐めたくなる。

 爽太は惹かれるようにお手伝いに歩み寄って行った。

「ん? 」

 爽太が歩み寄ってくる姿に気づいたとお手伝いは手を止めた。

 ちょうど手入れが終わったところで、小道具を片付けてお手伝いはその場を去って行った。その姿を見た爽太は、気づかれないようにお手伝いの跡をつけて行った。

*****

 
 庭の手洗い場に来たお手伝いは道具を洗って片付けると、自分の汚れた手を洗い始めた。

 水しぶきがかかって、白い胸元が濡れてしまい透けて見えてくるとその向こうで柔らかいメロンが重なっていて、その間に顔を埋めたくなる。

 そんな姿を隠れてみていた爽太は、お手伝いが歩きだしたのを見るとサッと駆け寄ってきた。

 急に現れた爽太に驚いたお手伝いは足を止めて息を呑んだ。

「あんた、名前は? 」

「…お手伝いの新城夏那です」

「ふーん」

 まるで品定めをするかのような目をして近づいてきた爽太に、夏那はちょっと怪訝そうな目を向けていた。

「ねぇ、あんた」

 ガシッと夏那の手を掴み取った爽太は嫌らしい目でニヤッと笑いを浮かべた。

「ちょっと来な! 」

 有無も言わせない力で夏那を引っ張って連れて行った爽太。

*****

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