浸食~ゆるやかに沈む~
私は体を売ることで食いつないでいる惨めな風俗嬢だ。ある日、新規の客の指名とのことでやって来たのは「昴(すばる)」と名乗る穏やかそうな印象の、優しい態度で接してくる男だった。どうして優しくしてくれるのか分からない。けど少しずつ、彼の言葉に私は沈んでいく。
「あ、どうも。初めまして」
今日の客は爽やかそうな印象を受ける青年だった。
私はただの娼婦。体を売って、生きるためだけにこの仕事をやっている。
押し付けられた借金、惨めな人生。それでも死ぬ勇気はない。そんな自分が嫌でたまらなかった。
今日の客は新規なのに、かなりのお金をもって私を指名してきたと聞いた。
一体どんなアホな男なんだろうと思えば、想像とは違い整った顔をした若い男だった。
「昴、って呼んでくれればいいよ」
男ははにかんでそう言った。
「それで、昴さんはどんなプレイがお好みなの?」
私がそう皮肉まじりに言えば、彼は微笑んで優しく私に口づけを始める。
ちゅっ、ちゅっ、彼はわざとらしくリップ音を立てる。昴はこういった趣を重視する男なんだなあと思った。
「っ…んんっ…ふぁ…っ」
だから私もわざとらしく声を上げて見せる。
「んんっ、いいね…」
彼はそう言うと、唇を離す。
「そうだなぁ、君は僕の欲しているものに答えてくれるいい子なんだね」
昴はにこりと笑って頭を突然撫でてきた。
…今までの客で、こんなに優しいことをする人は初めてだった。私は驚きを隠せない。
「僕は君が痛い思いや嫌な思いをしながら行為をするのは嫌なんだ…。だから、僕の言う通りにしてくれればいいよ」
信用していいのかわからない。けれど、私は自然とこの男の優しい言葉に頷いていた。
*****
彼は私に全てを見せることを望んだ。
「ありのままの君の姿を見せてよ」
彼は私の腕を痛くない程度に縛り、脚を開くようにと言った。
どうしてだろう。この人の言葉に従いたくなってしまうのは。
そうか、この人の言葉は、優しくて、信頼できるんだ。
「そう、あぁ、恥ずかしい姿勢だね。下の口がよぉく見える」
にこにこと微笑みながら言う彼に、思わず私はムッとした顔をしてしまう。
「ごめん、ごめん。でも、つい」
彼は私をそのままベッドに座らせると、向かいに立つ。私がベッドに座りながら脚を開き、彼が立ったまま挿入するという姿勢だ。
「よく見えるでしょ?僕の顔も、繋がっている様子も…」
少しずつ、彼の言葉に自分の心が解きほぐされる感覚を感じていた。この人に身を任せたい。この人の言葉で、蕩けさせられたい――。
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