年上のご主人様
私は20歳以上も年上の“おじさま”に仕えるメイドの一人だ。おじさまは私に紳士的に接してくれ、徐々に心が惹かれていき、お付き合いを開始した。今までキス以上のことはしたことがなかったが、今夜、おじさまに呼び出され、ついにその時が来たと確信した――。
「おじさま、お茶が入っておりますよ」
「ああ、いつもありがとう。君は本当に私の好みをわかっている」
私とおじさまのやり取りは朝の一杯の紅茶から始まる。
おじさまは俗にいう大企業の社長であり、そろそろ40代の後半に差し掛かる。
一方、私は成人して間もない歳だ。
そんな私とおじさまだけど、実はお付き合いをしている。
きっかけは、おじさまのやさしさに少しずつ惹かれていった私がいたからだ。
おじさまは独身で、「私のようなオヤジを相手にする女の人もいないだろう。私も、お金だけを目当てにする人と付き合いたいとは思わないんだ」と昔から言っていた。
おじさまは使用人の私にもとてもやさしい人だった。
私が紅茶をこぼしてしまったり、大切なアンティークに傷をつけてしまった時も、まず第一に私のことを心配してくれた。
「よかった、君が怪我をしなくて」
そう笑ってくれるおじさまのことを、私は好きになった。
そうして、告白した。
おじさまは少し驚いた様子だったけれど、「こんなオジサンでいいなら」と一言、笑って私のことを受け入れてくれた。
*****
ある日、おじさまが照れくさそうに私に声をかけてきた。
「夜、一緒に寝てほしいんだ」
間接的な言葉ではあったが、おじさまの願い事は理解できた。
今まで私とおじさまは二人でデートとして、美術館に行ったりカフェに行ったり、食事をしたりはした。
けれど、おじさまは照れ臭そうに口付けをして、手をつなぐ以上のことはしなかった。
私はどきどきとした胸を押さえながら、「わかり、ました」と頷いた。
*****
そうして夜が来た。私は仕事を終え、おじさまの部屋の扉をたたく。
おじさまは「ありがとう、来てくれて」というと、私をやさしく部屋に招き入れて、紅茶を入れてくれた。
いつもの茶葉だ。
「落ち着くかい?」
「ありがとうございます」
「ありがとう、でいいよ。君は恋人なんだから」
私はどきどきとしながら、おじさまに抱き着いて、私からキスをして見せた。
照れくさそうなおじさまの顔が、かわいくて、私はそのままベッドへと駆けていった。
レビューを書く